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がん薬物療法に携わる薬剤師

2017年07月19日登載/2017年07月作成

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  • 伴 晶子 先生

    伴 晶子 先生

    公立西知多総合病院
    診療技術局 治療サポート部
    薬剤科 主任薬剤師

薬剤師と看護師が一体となって外来化学療法室を運用
CDTM導入で化学療法を安全・確実・迅速に推進

【がん医療へのかかわりの第一歩は、患者と話すことから】

公立西知多総合病院(468床、浅野昌彦院長)は、2015年5月1日、東海市民病院と知多市民病院を統合して急性期病院として開院した。2017年4月1日より新設されたリウマチ科を含めて31診療科があり、知多半島医療圏の北西部の地域医療と救急医療を担っている。また、東海地震に備えて高台に建つ免震構造の建物になっており、同年9月30日には災害拠点病院の指定を受けた。

がんについては、がん検診による早期発見から治療(手術、薬物療法)、緩和ケアまでを行っており、放射線療法については半田市立半田病院など近隣の病院と連携している。

公立西知多総合病院
伴 晶子 先生

伴 晶子 先生

 薬剤科には常勤26名、非常勤1名計27名の薬剤師が所属しており、1階には救急外来に隣接した調剤室があり、時間外の救急の投薬がスムーズに行えるよう工夫されている(写真1)。また地下1階には製剤室、無菌調製室、麻薬管理室、DI室、注射薬室があり、ピッキングマシンによる注射セット業務が行えるシステムを有する(写真23)。病棟は1病棟を1名が担当。同院のがん医療をリードしているのが、日本医療薬学会・がん指導薬剤師、がん専門薬剤師の資格を持つ伴晶子先生だ。合併前は東海市民病院に所属しており、現在は主に外来化学療法室を担当している。

 「薬剤師になったころは、患者さんの死が怖くて、がん患者さんにかかわるのを避けていました。ところが、祖母2人と母ががんになり、多くの医療スタッフに支えてもらった。病院は切実な状況に陥った人が藁をもすがる思いで訪れるところなんだなと実感しました。当時はまだ専門薬剤師制度がなかったのですが、上司から病棟で抗がん剤の勉強をするように言われ、何もできないながらも、 "患者さんのことをよく知っている人"になろうと病棟の患者さんと話すことから始めました。そして、スキルがないと役に立てる人になれないと考え、まずはがん薬物療法認定薬剤師の資格を取りました」(伴先生)。

写真1

写真1

薬剤科の調剤室

【CDTMマニュアルの活用:薬剤師が処方・検査の代行オーダーを行い、医師が確認する】

 開院時から化学療法に「医師・薬剤師協働薬物治療管理」(Collaborative Drug Therapy Management:CDTM)を導入しているのも同院の特長だ(図1)。平成22年4月30日付の厚生労働省医政局長通知「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」の中で、薬剤師を積極的に活用することが可能な業務として、「薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダーについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。」と記載されている。同院では、医師・薬剤師・看護師が協議を行い、薬物治療の基本方針について、プロトコール・マニュアルにまとめている(以下、CDTMマニュアル)。CDTMマニュアルに基づき、薬剤師は一部の処方・検査の代行オーダーを行っており、それを医師が確認している。代行オーダーは、現在、外科と呼吸器内科、消化器内科、泌尿器科、産婦人科の化学療法を受ける患者を対象にしている。代行オーダーできる項目は皮膚障害、口内炎・口角炎・口唇炎、悪心・嘔吐、味覚異常、下痢、便秘、筋肉・関節炎の予防・治療薬などの処方や、電解質異常、B型肝炎、蛋白尿、間質性肺炎の検査である。B型肝炎のスクリーニングやKL6の検査が未実施などの場合は薬剤師が代行オーダーを行うことが、同院では可能である。

 CDTMでは代行オーダーを行うにあたり、薬剤師にはCDTMマニュアルの遵守、副作用のグレードの評価、薬剤の禁忌・慎重投与や併用薬の相互作用の評価を行うことと定められている。また、代行オーダーができるのは化学療法の経験のある薬剤師に限定され、オーダーミス防止のために、セット登録されたオーダー方法や前回までに処方されたオーダーを利用することなども決められている。

 「CDTMマニュアルは適宜見直しています。CDTMによって化学療法を効率よく迅速に進めることができ、医師からも助かっているという声を聞きます。また、患者さんからもオーダーを待つ時間が短縮されるのと同時に、外来化学療法室や病棟で薬剤師や看護師に丁寧にみてもらえると喜ばれています。」(伴先生)。

 また、安全に治療を遂行するために「がん化学療法開始時チェックリスト」(図2)を作成して医師・薬剤師・看護師が、化学療法前に行う必要のある検査や他科との連携など必要なチェック項目を確認している。化学療法同意書についても、医師、薬剤師、看護師のサインが条件とされており、薬剤師、看護師が介入しやすいようチェックリストの項目として掲げられている。

図1

図1

外科と呼吸器内科、消化器内科、泌尿器科、産婦人科の化学療法におけるCDTMマニュアル

図2

図2

薬剤師によるインフォームド・コンセントや
看護師によるオリエンテーション時の標準となっている
「がん化学療法開始時チェックリスト」

【副作用のグレードを重視した「副作用チェックシート」を活用】

写真4

写真4

外来化学療法室のスタッフステーション

 外来化学療法室は18床で、伴先生を含めて薬剤師3名と、副看護師長で、がん化学療法看護認定看護師の小林和子氏(取材時)ら看護師3名が担当している(写真45789)。併設されている抗がん剤無菌調製室で入院患者の抗がん剤も調製するなど多忙を極める薬剤師だが、看護師と密接に連携して多岐にわたる業務に取り組んでいる(写真1011)。

 患者の処方内容は前日に看護師とともにチェックする。投与当日の副作用の確認に役立つのが患者に記入してもらう「副作用チェックシート」だ(図3写真12)。「これは合併前、両病院にもあったのですが、それぞれのよい部分を取り入れ病院の合併時に副作用のグレードを意識した質問内容に変え、患者さんにわかりやすく、医療者にも使いやすく改良しました」(伴先生)。そして、患者の回答を看護師や薬剤師が確認しながら、患者対応を行う。その際、看護師は患者の状態も確認。「手のひらや爪を見て、患者さんが自分でできるケアを患者さんといっしょに考えます。」(小林氏)。

写真9

写真9

外来化学療法室の佐藤知香先生と

写真12

写真12

副作用チェックシートは問診時スタッフによりさらに必要な情報が追記され、患者の氏名順にファイリングされる

図3

図3

患者が記載し提出する副作用チェックシートには、副作用のグレードに対応した質問項目が並ぶ

 この副作用チェックシートの利用と看護師との協働は、CDTMの運用にも効用を発揮している。「CDTMには副作用グレードにより処方をすることが決められているものがあり、そのグレードの判断を決定することが重要です。以前は薬剤師と看護師のグレード評価が異なっている場合がありましたが、薬剤師と看護師がチェックシートを用いて一緒に行うことで、副作用グレードが統一されるようになってきました」と伴先生は語る。小林氏も「副作用チェックシートとCDTMの処方オーダーを薬剤師と一緒に見ることで、必要な処方を確認できるのがいいですね」と看護師にとっての効用を実感している。なお、この副作用チェックシートの内容は、看護師によって毎回、患者カルテにExcelチャートで入力されており、患者の副作用の経過が経時的にわかるようになっている。また、患者が処方や栄養指導の希望を書けるようになっているのも特徴で、CDTMによる処方代行オーダーに反映されることも多い。

 外来化学療法室が内服抗がん剤をチェックするポイントとなっているのも、同院の特徴だ。院外処方となる内服抗がん剤の場合、患者が抗がん剤に詳しい薬剤師に服薬指導を受ける機会が乏しく、処方する調剤薬局においても副作用が起こったときの対応に苦慮しているのが現状だ。そこで、同院では内服抗がん剤が処方された場合、患者は医師の診察後に外来化学療法室で薬剤師と看護師から指導を受けて、調剤薬局と連携するシステムを構築した(後述)。

小林 和子 先生

小林 和子 先生
公立西知多総合病院 副看護師長
がん化学療法看護認定看護師

 「副作用チェックシートを用いて副作用について確認し、飲み忘れや休薬期間が守られているかについても尋ねます。患者さんからは"これまでどの病院でもこのような話を聞いたことがなかったので安心した"という声も聞きます。長年抗がん剤を内服して顔の黒ずみが気になるという患者さんにはカバーメイクについてお話ししました。将来的には、内服抗がん剤とホルモン剤全般についてかかわれるようにしたいと思っています。」(小林氏)。

 患者は外来化学療法だけでなく、入院時の化学療法導入時にも外来化学療法室で説明を受ける。告知を受けたばかり、再発がわかったときといった心理的に不安定な患者を受け入れるにあたり、「私たち薬剤師は薬物療法を含めた治療の面からアプローチをするのに対し、看護師は患者さんの生活状況や心理を汲み取るのが得意。患者さんに何が必要か、今、誰が声をかけるべきかを一緒に判断して、対応しています」(伴先生)。

写真13

写真13

患者がどのベッドやリクライニングチェアで診察や治療を受けているかが一覧できるボード

 外来化学療法室では患者がどのベッド又はリクライニングチェアで診察や治療を受けているか、スタッフが把握できるように、スタッフステーションにあるボードが活用されている。患者の氏名の横に、化学療法室へ患者が入室すると赤のマグネット、薬剤師の服薬指導終了時に緑のマグネットをそれぞれ担当スタッフが貼る。(写真13)。少ないスタッフで共通認識を持つための工夫の一つだ。

【化学療法委員会の効率的運用を推進】

 病院の合併にあたり、元の2つの病院でそれぞれ作成されていた化学療法のプロトコールをどう扱うかは大きな課題だった。そこで、合併が決まった後、開院の2年半前から2つの病院の化学療法委員会は3カ月に1回の割合で合同会議を設け、プロトコールの統合を進めてきた。そのため、開院時にはほぼすべてのプロトコールを揃えることができた。「プロトコールの統合はリスクマネジメントの観点からも重要です。合同会議では両院のレジメンをオープンにして、違うところと同じところを検証していきました。ガイドラインなどで標準化されているレジメンはそれに沿って決められますが、ガイドラインに掲載されていないものは投与順序や投与量、投与の際のメインルートを何にするかなど毎回議論を重ね、決まらないところは他院で行っている治療法について調査をしたうえで、妥当な点を見つけました」(伴先生)。支持療法や溶解液、投与速度などについても、順次統合を進めた。例えば、CVポートのロック液として生理食塩水にヘパリンを入れるかどうかは医師や使用しているポートの種類によって異なり、混在していたが、化学療法委員会で検討し、ヘパリン入りと決まったという。

 合併後の新しい化学療法委員会は、化学療法に詳しい乳腺外科医をはじめとする6名の医師と、伴先生ら薬剤師3名、認定看護師3名から成る。新しいレジメンは化学療法委員会に申請された後、薬剤師がエビデンスを評価し、保険適応なども確認し、「認証」「仮認証」「患者限定」の3つの枠に分けて承認できるプロトコールであるかの議論を行う。そして、化学療法委員会が「承認」「却下」「保留」の3つに分類する。委員会は月1回の開催で行っているが、必要に応じて、委員長である医師とがん専門薬剤師、がん化学療法看護認定看護師と新規レジメン申請した医師により臨時委員会を開催することもある。

 化学療法委員会が開催される際は、事前に進行表が作られ、議題毎に担当者が決められており、審議の結果について「承認」「却下」「保留」が書き込めるようになっている(写真14)。「効率よく、メンバーがまんべんなく話せるように、また議論がゴールにつながるように工夫しました」と伴先生。

 さらに、委員会での決定事項はA4用紙1枚にまとめられ、がん医療に携わる医師や各科外来、病棟、医事課、薬剤科に「化学療法委員会からのお知らせ」として届けられる(図4)。「時間のあるときに私が1枚ずつ配りながら、医師に困っていることはないかと聞いてまわると、医師からいくつか質問や注文があります。合併になってからはまだよく話していない医師もいるので、こうやってコミュニケーションを取るのもいい方法だと感じます」(伴先生)。

【地域の調剤薬局との連携を強化。ポイントは重要な情報を漏らさないこと】

図5

図5

抗がん剤患者チェック票には、調剤室の薬剤師が気をつけるべきポイントが列記されている

 伴先生らは、地域の調剤薬局との情報共有に心を配っている。とくに重要視しているのは内服抗がん剤の投薬スケジュールだ。1部の内服抗がん剤ではあるが、薬を処方された患者は、初回だけではなく、毎回、外来化学療法室で薬剤師、看護師による指導を受けている。また、内服抗がん剤の処方せんを調剤薬局に持っていってもらう際には、「医師に処方せんに服薬開始日と投与スケジュール(例:2週間内服し、1週間休む、など)を必ず記載してもらいます」(伴先生)。そして、薬剤師が記載の有無だけでなく、投与開始日やスケジュールや投与量が合っているか当日の検査値に問題がないか、希望される薬剤は処方されているかなどもチェックしている。

 伴先生は、医師も参加した地域の医療スタッフ向けの講演会で、内服抗がん剤のヒヤリハット事例を紹介し、病院側の協力なしで調剤薬局が十分な副作用チェックや服薬指導をするのは難しいことと同時に、医師が処方せんに投薬スケジュールまで記載することにより患者がきちんと服薬しているかなど、調剤薬局での患者サポートが可能となることを訴えた。「こうした機会や毎日の診療で何度も繰り返し伝えることで、処方箋へ必要な情報を書いてくれる医師が増えました」。さらに、院内の調剤室では、抗がん剤の処方監査に必要な情報を書いた「抗がん剤患者チェック票」(図5)を設置し、調剤室の薬剤師が利用できるよう工夫している。

 調剤薬局からの疑義照会は、医師に直接問い合わせるのではなく、いったん薬剤科が受け、医師に問い合わせる。「問い合わせ内容が抗がん剤であれば、抗がん剤担当薬剤師が対応します。全ての内服抗がん剤について、外来化学療法室でフォローするには、マンパワーの問題があり、難しい状況です。調剤薬局と連携、協力し、安全な医療につながるシステムを作る必要があると思っています。今後の重要課題の1つです。」

【がん薬物療法の専門性を高めて、患者個々の病態に対応したい】

 開院から2年が過ぎ、同院は元の2つの病院のいいところを統合したがん医療を目指してきた。2016年4月より、同院にDPC(包括医療費支払制度)が導入され、外来化学療法の患者はさらに増えることが見込まれる。

 伴先生は、「医師には聞けないけれど、薬剤師には聞けるという患者さんがいます。そんな患者さんの質問に対して、ガイドラインでどのように書かれている治療法が医師から勧められているのか、又どういう病態でありどのようなリスクに対する治療であるのかなど、一人ひとりの病態に応じたがん薬物療法について説明できる専門性を身につけ、患者さんやその家族の力になり、支えていきたいです。」と話す。また、今、がん専門薬剤師を目指したいと手を挙げた若手薬剤師も含めて、がん医療にかかわる薬剤師が統一した指導ができるようになることも目標だ。「抗がん剤曝露のガイドラインの遵守にも力を入れ、薬剤師や看護師、患者さんの曝露についても意識を高めて、薬物療法の安全に関するリーダーシップを取っていきたい」と抱負を語っている。

KK-16-09-15818

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