クリースビータ[よくある医薬品Q&A]
効能又は効果(適応症)
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適応症がFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症となった設定根拠は?
X染色体連鎖性低リン血症(X-linked hypophosphataemia:XLH) 及び腫瘍性骨軟化症(Tumor induced osteomalacia:TIO)については本剤の各臨床試験で有効性が示されており、安全性も許容可能と考えられています。FGF23 関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、XLH及びTIO以外の疾患を含め、いずれの疾患もFGF23 の過剰産生に伴う血清リン濃度の低下による骨の石灰化異常を主徴としており、本剤が過剰なFGF23を中和するという薬理作用を有することを踏まえると、本剤投与による一定の有効性が期待でき、臨床試験の実施可能性も考慮されて、「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」と設定されました。
[参考資料] クリースビータ審査報告書 7.R.52023年8月更新
MA-2023-195 -
作用機序は?
FGF23 は、腎臓におけるリン再吸収の抑制と血清ビタミンD 濃度の低下に伴う腸管からのリン吸収の抑制により、血清リン濃度を低下させるリンの特異的調節因子です。
本剤はFGF23を標的とする ヒト型IgG1モノクローナル抗体です。本剤はFGF23 に結合し、FGF23/ Klotho/FGF23受容体複合体形成による細胞内シグナル伝達を阻害します。この作用に基づいてFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症患者で認められる過剰なFGF23の作用を中和することで、腎臓でのリン再吸収を正常化させます。また、1α-水酸化酵素活性を回復させることから血清 1,25(OH)2D濃度が上昇し、その結果腸管からのリン吸収が改善することが期待されます。これらの作用により低リン血症の改善が 期待されます。
[参考資料] クリースビータ申請資料概要 5.1.1、承認時評価資料2023年8月更新
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用法及び用量(投与法・投与計画)
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投与間隔のズレはどのくらい許容されますか?
特に基準はありません。添付文書のリン濃度の推移から医師が判断してください。なお、保険上の解釈は支払基金や厚生局にご確認ください。
(参考)
治験時:成人試験では「被験者が規定された投与日から21 日以内に投与を受けなかった場合は、その投与は省略し、次に規定された投与来院時に次の投与を行う。投与は14 日以上空けて行うものとする。」、小児試験では「予定投与10 日以内に被験薬を投与しなかった場合は、その回の投与は実施せず、次回の予定投与来院時に投与する。投与は最後の投与から8 日後以降に行う必要がある。」と定められていました。2023年8月更新
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注射をした後はもんだほうが良いですか?
注射した部位をもむとはれることがあるので、もまないでください。アルコー ル綿で押さえたあと、ばんそう膏を貼るのも良いでしょう。 (RMP資材 自己注射ガイドブック P14、P23 Q&A Q10)
2023年8月更新
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副作用・安全性
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注射部位反応などの発症頻度は?
承認時までに実施した臨床試験(298例)において注射部位紅斑は37件(12.4%)、注射部位反応45件(15.1%)でした。
2023年8月更新
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配合変化・安定性
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添付文書には、「投与前に冷蔵庫から取り出し室温に戻しておくこと。」とあるがどのくらい前に出せば良いですか?
特に時間は設定されていません。直接日光に当たらない場所で室温に戻してください。
(参考)
臨床試験では30分程度室温にて放置することとしていました。2023年8月更新
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薬剤の保管についての注意点は?
使用直前に開封してください。RMP資材 自己注射ガイドブック P5に【クリースビータの保管についてのご注意】として、以下の記載があります。
・冷気の吹出口付近や冷凍庫、チルド室には保管しないでください。
・一度凍ってしまったクリースビータは使用しないでください。
・直射日光の当たる場所や高温多湿の場所に置いたり、車の中に放置することは避けてください。
・注射の準備ができるまで、箱からバイアルを取り出さないでください。
・使用期限の過ぎた薬剤は使用しないでください。
・何らかの理由で薬剤を使用しなかった場合は、主治医までお問い合わせください。2023年8月更新
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氷点下(0℃以下)で保管してしまったが使用可能ですか?
凍結した製品は使用しないでください。タンパク質が変性している可能性を否定できないため。(RMP資材 自己注射ガイドブック P5)
2023年8月更新
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室温での安定性については?
蛋白製剤であり温度変化にはデリケートです。貯法通りでなかった製剤の品質の保証はできかねます。なお、医薬品インタビューフォーム Ⅳ-6.安定性の項に以下の記載があります。
[ガラスバイアル/紙箱]
25±2℃/60±5%RH 1か月までは規格内 40±2℃/75±5%RH 1週間までは規格内2023年8月更新
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包装・取り扱い
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保険調剤薬局から交付可能ですか?
2020年11月30日の官報にて「保険医が投与することができる注射薬」に追加されたことが告示されたため、処方箋を交付して行われる院外処方が出来ると考えられます。 ただし、添付文書には「本剤は、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を開始すること」との記載があります。なお、保険上の解釈は支払基金や厚生局にご確認ください。
2023年8月更新
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針はついていますか?
針は注射筒とともに医療機関でご準備ください。ご施設で皮下投与で通常使用されるゲージを用いてください。
2023年8月更新
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注射針は、どのゲージ(太さ)を使用すれば良いですか?
添付文書等に規定はありません。施設で使用されているゲージを使用ください。
(参考)
治験では、注射針一体型では27G(ゲージ)、非一体型の場合は、調整用23G、注射用26Gを使用していましたので27G以上を推奨します。2023年8月更新
MA-2023-195
その他
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FGF23の測定は必要ですか?
「薬価基準の一部改正に伴う留意事項について(令和元年11月18日保医発1118第1号)」の通知にあるとおり、FGF23の過剰を検査で確認した上で、本剤の投与を開始することが求められています。なお、保険上の解釈は支払基金や厚生局にご確認ください。
2023年8月更新
MA-2023-195