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デパケン[よくある医薬品Q&A]

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よくあるお問い合わせ

  • デパケン錠・細粒・シロップからデパケンR錠にはどのように切り替えたらよいですか?

    血中濃度の日内変動を変更前に近い状態で変更する目安は、1日投与量は変えずに服用回数を1回減らす方法が考えられます。ただし用法を変更しない場合もあります。

    1. デパケン錠・細粒・シロップ分3投与→デパケンR錠分2投与
    2. デパケン錠・細粒・シロップ分2投与→デパケンR錠分1投与
      1日投与量を変えずに、投与回数を1回減らしたデパケンR錠の血中濃度推移を変更前と比較して、変更前と近い日内変動を示しています。
    3. デパケン錠・細粒・シロップ分2投与→デパケンR錠分2投与
      用法及び用量を変更せずに切り替えた場合、変更前に比較して変更後のCmaxは低下し、Cminは上昇することが知られています(血中濃度の安定化)。
    いずれの方法にしても剤型を切り替える際は、必要に応じて血中濃度モニタリングをしながら慎重に投与方法を決めてください。

    [参考文献]
    三浦寿男,他:診療と新薬, 25 (10), 2023-2035 (1988) [009-180]

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンR錠を粉砕して使用することはできますか?

    粉砕使用は承認外です。粉砕すると徐放性、防湿効果が失われますので避けてください。デパケンR錠は、製剤上の特性としてマトリックスとその外側の徐放性被膜によって徐放性が保たれ、さらに防湿のための糖衣が施されています。また有効成分のバルプロ酸ナトリウムは吸湿性があり、デパケン錠(普通錠)も含めて粉砕使用は承認外となり避けてください。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンR錠が錠剤のような形のまま糞便中に排泄される事がありますか?

    デパケンR錠は白色の残渣が糞便中に排泄されます。
    糞便中に排泄される残渣は有効成分のバルプロ酸ナトリウム(VPA)が放出された後の抜け殻のようなものになり形や色は様々です。たとえ錠剤の形状が一見保たれていても服用してから約10時間以上経っていればVPAは吸収されていると考えられます。ただし、重篤な下痢のある患者では血中濃度が十分に上昇しない可能性がありますので注意してください。
    なおデパケンR錠はマトリックスタイプの徐放錠として製剤設計されています。外側の糖衣は消化管内で短時間で消失しますが、VPAが水に不溶のマトリックスから徐放性被膜を介して徐々に放出される(約9~10時間でほぼ100%)しくみになっています。

    [患者説明用資材]

    表紙

    本資材をご要望の方は、弊社MRまでご連絡ください。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

用法及び用量(投与法・投与計画)

  • デパケン錠・細粒・シロップからデパケンR錠にはどのように切り替えたらよいですか?

    血中濃度の日内変動を変更前に近い状態で変更する目安は、1日投与量は変えずに服用回数を1回減らす方法が考えられます。ただし用法を変更しない場合もあります。

    1. デパケン錠・細粒・シロップ分3投与→デパケンR錠分2投与
    2. デパケン錠・細粒・シロップ分2投与→デパケンR錠分1投与
      1日投与量を変えずに、投与回数を1回減らしたデパケンR錠の血中濃度推移を変更前と比較して、変更前と近い日内変動を示しています。
    3. デパケン錠・細粒・シロップ分2投与→デパケンR錠分2投与
      用法及び用量を変更せずに切り替えた場合、変更前に比較して変更後のCmaxは低下し、Cminは上昇することが知られています(血中濃度の安定化)。
    いずれの方法にしても剤型を切り替える際は、必要に応じて血中濃度モニタリングをしながら慎重に投与方法を決めてください。

    [参考文献]
    三浦寿男,他:診療と新薬, 25 (10), 2023-2035 (1988) [009-180]

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンR錠からデパケン錠・細粒・シロップにはどのように切り替えたらよいですか?

    薬剤服用により症状が安定している場合、デパケンR錠からデパケン錠・細粒・シロップへの安易な剤型変更は推奨できません。
    やむを得ず変更する場合、血中濃度の日内変動を近い状態で変更する目安は、1日投与量は変えずに服用回数を1回増やす方法が考えられます。
    ただし、1日2回服用していた場合は変更に際し2つの考え方があります。

    1. デパケンR錠分2投与→デパケン錠・細粒・シロップ分3投与
      デパケンR錠分1投与とデパケン錠・細粒・シロップ分2投与の日内変動がほぼ同程度であることから、投与回数を1回増やすとほぼ同様の日内変動のパターンを示すと推定されます。
    2. デパケンR錠分2投与→デパケン錠・細粒・シロップ分2投与
      投与回数を増やすことでコンプライアンスの低下が懸念されるため、無理に投与回数を増やさないで切り替えます。
    いずれの方法にしても剤型を切り替える際は、必要に応じて血中濃度モニタリングをしながら慎重に投与方法を決めてください。

    [参考文献]
    武田明夫 他:てんかん研究, 6 (2) 196-203 (1988) [009-204]

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケン細粒を水等の飲料と混ぜて服用してよいですか?

    デパケン細粒を水等の飲料と混ぜて服用することは承認外の用法です。水等の飲料と混ぜた際の安定性は検討していないため推奨できません。
    水に溶かした場合、有効成分のバルプロ酸ナトリウムは水に極めて溶けやすいですが、添加物が水に溶けにくく懸濁状態になると思われます。また白糖などの矯味剤を添加していないため、味覚の面でも飲みにくいと考えられます。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

副作用・安全性

  • デパケンの副作用で消化器症状はどのようなものが多いですか? 症状を軽減するにはどうしたらよいですか?

    バルプロ酸ナトリウム(VPA)による消化器系の副作用の主なものは、悪心・嘔吐、食欲不振、胃腸障害、便秘、下痢等です。
    悪心・嘔吐はVPAの副作用の中でも多いものですが、特に小児に多いとの報告もあります。そのほとんどはVPA投与の初期にみられるか、投与3~5ヵ月までに認められるものとされ、多くが一過性です。一般に消化器系の副作用の発現にはVPAの投与量が関係し、血中濃度との関連はあまりないとの報告が多く、消化器系の副作用の機序は、消化管に対する直接作用と推定されますが、詳細は不明です。
    消化器症状を軽減するために食後服薬の徹底、一日の投与量は変更せず投与回数を増やす(一回当たりの服用量を減らす、増量の際にはできるだけ漸増とする)等で対処されています。

    [参考資料]
    山内俊雄:バルプロ酸ナトリウムの副作用について(改訂第三版増補版), 26-30 (2015)

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンによる毛髪の変化(脱毛等)はどのような機序により起こるのですか?

    毛髪の変化は、バルプロ酸ナトリウム(VPA)の化学構造が毒性を有するアミノ酸mimosineに似ており、VPAもmimosineと同様に毛の成長に必要な酵素を阻害するためではないかとの推論もありますが、詳細は不明です。
    VPAによる毛髪変化は、一時的に薄くなったもの、毛髪が波状あるいは縮毛に変化したもの、毛髪が薄くなった後で縮毛となったもの、逆に直毛になったもの、毛髪の色調が変わって褪色したり濃くなったものが報告されています。脱毛は部分的、一過性ですがなかには全脱毛の例も報告されています。毛髪の変化はVPA服用後1~4ヵ月してみられることが多いですが、服用1年後にみられた例もあります。程度は軽く、多くは一過性で服用を続けても変化が止まることが一般的ですが、服用中、長期にわたって持続し、VPAの中止後、症状の消失までに6ヵ月を要した例も報告されています。

    [参考資料]
    山内俊雄:バルプロ酸ナトリウムの副作用について(改訂第三版増補版), 123-130 (2015)

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンシロップは赤色澄明のシロップですが、尿が赤く着色することがありますか?

    デパケンシロップの添加物(色素)により尿が着色することはありません。
    なお、副作用として血尿の報告があります。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

妊娠・授乳への影響

  • デパケンの母乳中への移行性はどの程度ですか?

    バルプロ酸ナトリウムのヒト母乳中への移行性については、母体血中濃度の3~6%(n=2)1)、9.66±3.18%(n=22)2)等の報告があります。

    [参考文献]
    1) 前田共秀,他:九州薬学会会報40,27-30(1986) [008-582]
    2) 佐藤時治郎,他:神経内科治療1(2),299-305(1984) [012-890]

    2023年9月更新
    MA-2023-250

配合変化・安定性

  • デパケンR錠を粉砕して使用することはできますか?

    粉砕使用は承認外です。粉砕すると徐放性、防湿効果が失われますので避けてください。デパケンR錠は、製剤上の特性としてマトリックスとその外側の徐放性被膜によって徐放性が保たれ、さらに防湿のための糖衣が施されています。また有効成分のバルプロ酸ナトリウムは吸湿性があり、デパケン錠(普通錠)も含めて粉砕使用は承認外となり避けてください。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケン錠を半割して使用することはできますか?

    半割使用は承認外です。バルプロ酸ナトリウムは極めて吸湿性が強く、服用の直前までPTPから取り出すことができない製剤です。また半割後の安定性や体内動態は未検討です。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンR錠を半割して使用することはできますか?

    半割使用は承認外です。徐放機能、防湿機能共に失われるため半割は推奨できません。半割後の安定性、体内動態は未検討です。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

製剤学的事項

  • デパケンR錠の徐放性はどのようなしくみによるものですか?

    デパケンR錠は製剤からのバルプロ酸ナトリウムの放出を一定にコントロールするために、錠剤中心部のマトリックス構造とマトリックスの外側の徐放性被膜の2つの機構により、溶出を制御しています。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンシロップはなぜ、白糖で味を付け、着色や香料を加えているのですか?

    デパケンシロップの有効成分のバルプロ酸ナトリウムは、特異な臭いとわずかな苦味を有し、主としててんかん患児に用いられるため、小児が服用しやすいことを目的に製剤設計されました。
    この検討の中では、少数のてんかん患児による嗜好テストも行われ、現在の甘味のある、イチゴシロップを連想させる赤色の液剤が選択されました。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンシロップの比重は?

    比重は1.235です。
    [参考資料] 医薬品インタビューフォーム「Ⅳ.製剤に関する項目(4)pH、浸透圧比、粘粘度、比重、無菌の旨及び安定なpH域等:デパケンシロップ5%」

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンシロップの浸透圧は?

    浸透圧:3570 mOsm
    浸透圧比:12.3 (生理食塩液の浸透圧が290 mOsmより、3570/290=12.3)
    デパケンシロップは有効成分のバルプロ酸ナトリウムを1mL中50mg含有しますが、白糖を1mL中600mg添加しているため高浸透圧となっています。

    2023年9月更新
    MA-2023-250

体内薬物動態

  • デパケンの吸収部位は? 吸収率は?

    バルプロ酸ナトリウムの吸収部位は広く、胃から下部消化管で吸収されます。吸収率は90~100%と考えられます。 [参考資料]医薬品インタビューフォーム「Ⅶ.薬物動態に関する項目」3.吸収

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンは食事の影響を受けますか?

    デパケン錠(普通錠)は、空腹時に服薬した場合に速やかに吸収されますが、食後に服薬した場合、バイオアベイラビリティーには差はないものの、空腹時よりも吸収はゆるやかになり、食事の影響が認められています。
    一方、デパケンR錠(徐放錠)では有効成分が徐々に放出されるので食事による影響は少ないです。

      Tmax
    (hr)
    AUC 0~∞
    (μg・hr/mL)
    空腹時投与 食後投与 空腹時投与 食後投与
    デパケン錠 0.92±0.57 3.46±0.66 964±236 868±195
    デパケンR錠 10.26±1.51 8.95±1.08 863±271 843±262

    mean±SD   


    [参考文献]
    武田明夫,他:てんかん研究 6 (2), 196-203 (1988)[009-204]

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンは投与開始後どれ位の期間で薬物血中濃度が定常状態(steady-state)に達しますか?

    • デパケンR錠(徐放錠)は健常成人6名に反復投与した時の血漿中濃度の推移(実測値とシミュレーション)より、1回600mg1日2回の反復投与では6~7日間で、1200mg1日1回の反復投与では7日間で定常状態に達しました1)
    • デパケン錠・細粒・シロップでは定常状態を検討したデータはありませんが、“くり返し投与の場合、定常状態に至る時間はその薬物の半減期の5倍を要する”2)という理論値に基づくと、デパケン錠の半減期は約6~12時間のため、定常状態に至るまでの時間は投与開始後、約2~3日と推定されます。

    [参考資料]
    1)小林智,他:臨床薬理 25(2),419-428(1994)[012-020]
    2)越前宏俊,他:薬物投与計画マニュアル(医学書院)2-15(1986)

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンの血中濃度はいつ測定したらよいですか?

    デパケンの血中濃度測定時期は特に定められてはいませんが、定常状態であっても最低濃度を測定することが勧められます1)
    定常状態であっても任意の時間の測定ではバラツキが大きいため測定ポイント(採血時間)を定める必要があります。

    [参考文献]
    1) 幸田幸直:日本臨牀, 43 (秋季臨時増刊号), 508-510 (1985) [016-334]

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンの血中濃度が上昇しない・上昇しにくい原因としてどのようなことが考えられますか?

    血中濃度が上昇しにくい場合の問合せとして下記のような事例があります。

    1. バルプロ酸ナトリウムは指示通り服用しているが血中濃度が上昇しない
    2. 経管チューブでの投与
    3. 重症心身障害児、寝たきりの状態
    血中濃度が上昇しない・上昇しにくい原因として、その多くはコンプライアンスの不良が考えられます。コンプライアンスの不良以外に、上記の事例のうち2.、3.のような場合、一般的に血中濃度が上昇しにくいことが推測されますが、いずれも詳細は不明です。機序としては下記のようなことが推測されます。
    (1) 消化管からの吸収が不良
    (2) 代謝・排泄(肝・腎)の亢進 (代謝酵素 等)
    (3) 臓器への分布の亢進 (蛋白結合率の変動 等)
    (4) 併用薬との(1)-(3)での相互作用

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンのてんかんに対する有効血中濃度は40~120μg/mLと報告されているが、必ずこの範囲にしないといけないのですか?

    抗てんかん薬の有効血中濃度とは、この濃度の範囲では中毒症状をきたさず、多くの患者で有効性が発揮される濃度という意味で、あくまでも治療における目安となるものです。
    単剤療法で慎重に最少有効量を決定しますが、一般的に考えられている有効血中濃度以下にて発作が抑えられる場合もあります。一方、症例によっては、有効血中濃度の上限以上の濃度に達するような用量で試みられることもあります1)

    [参考文献]
    1) 大塚頌子:脳神経 46(3),229-237(1994) [012-810]

    2023年9月更新
    MA-2023-250

  • デパケンR錠が錠剤のような形のまま糞便中に排泄される事がありますか?

    デパケンR錠は白色の残渣が糞便中に排泄されます。
    糞便中に排泄される残渣は有効成分のバルプロ酸ナトリウム(VPA)が放出された後の抜け殻のようなものになり形や色は様々です。たとえ錠剤の形状が一見保たれていても服用してから約10時間以上経っていればVPAは吸収されていると考えられます。ただし、重篤な下痢のある患者では血中濃度が十分に上昇しない可能性がありますので注意してください。
    なおデパケンR錠はマトリックスタイプの徐放錠として製剤設計されています。外側の糖衣は消化管内で短時間で消失しますが、VPAが水に不溶のマトリックスから徐放性被膜を介して徐々に放出される(約9~10時間でほぼ100%)しくみになっています。

    [患者説明用資材]

    表紙

    本資材をご要望の方は、弊社MRまでご連絡ください。

    2023年9月更新
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