マイトマイシン[よくある医薬品Q&A]
副作用・安全性
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マイトマイシンによる溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome; HUS)とは何ですか?
微小血管症性溶血性貧血(MAHA;Microangiopathic haemolytic anemia)は、微小血管の障害(主に血管内にフィブリン沈着)によって、ここを通過する赤血球が機械的に破壊され、溶血性貧血を生じる症候群です。腎糸球体に微小血栓が生じ、血小板減少、腎障害、MAHAを併発しているのが溶血性尿毒症症候群(HUS;Haemolytic uraemic syndrome)です。
HUSの頻度の具体的な数値は報告により異なりますが、MMCでの発症率は4~15%と考えられ、主に使用量と使用期間に比例すると考えられ、特に90mg/bodyを超すと症状は重篤になるといわれています1)。
HUSの特異的な治療法は確立されていませんが、速やかに原因薬剤を中止する事が大切で、水・電解質管理、高血圧のコントロール、また必要に応じて透析療法等の一般的支持療法が基本となります1)。
特殊療法としては、血漿交換、抗血小板剤、ステロイド、血液透析などの報告がありますが、さまざまな治療法とその効果を詳細に検討した報告では全般的に有効な治療法は見いだされなかったとされています1)。
なお、HUS患者に対し輸血を行うと急速な溶血が起こり、化学的伝達物質が放出され、肺水腫が高率で発症するため、どうしても必要な症例に限り、肺水腫、心不全に留意しながら慎重に行う必要があるとされます1)。
[参考文献]
1) 武田和子: 小児科 45(1), 16-23 (2004) [017-767]2023年8月更新
MA-2023-162 -
マイトマイシンによる骨髄抑制に関して、白血球、血小板が最低値に達する期間と正常域に回復するまでの期間はどのくらいですか?
白血球は投与後21~28日に最低値となり、その後7~14日で回復します。血小板は投与後約21~28日に最低値となり、その後14~21日で回復します1)。
白血球数、血小板数共に総投与量が増すにつれて遷延化する恐れがあるので、投与時は定期的に末梢血検査を行い、異常が認められた場合には減量、休薬、投与中止、又は必要に応じG-CSF(顆粒球コロニー形成刺激因子)投与、血小板輸血等、適切な処置を行います。
[参考文献]
1) 西條長宏監修、がん化学療法の副作用と対策、中外医学社、東京、1998、pp59-832023年8月更新
MA-2023-162