ポテリジオ[よくある医薬品Q&A]
用法及び用量(投与法・投与計画)
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化学療法未治療のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫に対し、他の抗悪性腫瘍剤と併用する際の、ポテリジオの投与時期は?
化学療法未治療のCCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫に対するmLSG15療法(VCAP療法-AMP療法-VECP療法の順での投与を1コースとし、これを4コース繰り返す)とmLSG15+ポテリジオ療法の比較試験で、ポテリジオは、腫瘍量が多く急性輸注反応(Infusion reaction)も強く発現すると想定される第1 コース初回投与は、VCAP療法投与日の翌日(VCAP療法投与日の4 日後まで可)、それ以降はVCAP療法 又はVECP療法投与日の前日(VCAP療法 又はVECP療法 投与日3 日前まで可)に投与されました。
[参考文献]
1) 承認時評価資料2023年8月更新
MA-2023-194
副作用・安全性
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Infusion reactionの発現時期、予防法、対処法は?
Infusion reactionは、ポテリジオの初回投与開始8時間以内(特に30分~2時間以内)に多く現れ、発熱、悪寒、頻脈、血圧上昇、悪心、低酸素血症、嘔吐等の症状があらわれることがあります。また、2回目以降の投与であらわれることもあります。
Infusion reactionの軽減には、ポテリジオ投与30分~1時間前に、副腎皮質ステロイド剤(ヒドロコルチゾン100mg等)の静注、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン塩酸塩30~50mg/回またはd-クロルフェニラミンマレイン酸塩2mg/回等)および解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン300~500mg/回等)の内服を行ってください。なお、前投与を行った場合でも、重度のInfusion reactionがあらわれることがあるので、ポテリジオ投与中および投与後は患者の状態を十分に観察してください。
Infusion reactionを認めた場合は、直ちに投与の中断や投与速度の減速を考慮し、速やかに症状に応じた適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド剤の投与等)を行ってください。投与を再開する場合は、症状の軽快または消失後とし、全ての徴候および症状が回復するまで患者の状態を十分に観察してください。また、投与再開後に、Infusion reactionが再度あらわれて投与を中止した場合は、ポテリジオを再投与しないでください。
[参考資料]
適正使用ガイド 3. 副作用2023年8月更新
MA-2023-194 -
重度の皮膚障害の症状と対処法は?
中毒性表皮壊死融解症、スティーブンス・ジョンソン症候群等の全身症状を伴う重度の皮膚障害により死亡に至った例が報告されています。
重度の皮膚障害が、ポテリジオ投与中だけでなく、投与終了後数週間以降にもあらわれることがあり、症状が持続する恐れがあります。
重度の皮膚障害があらわれた場合には投与を中止し、皮膚科に相談の上で適切な処置を行ってください。なお、皮膚障害があらわれた場合には、皮膚科に相談の上で早期段階より適切な診断・処置(副腎皮質ホルモン剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の投与等)を行ってください。
重度の皮膚障害がポテリジオ投与中だけでなく、投与終了後数週間以降もあらわれることが報告されているため、投与終了後も継続して患者の全身の皮膚の状態を定期的に観察してください。
ポテリジオの治療を再開する場合は症状回復後とし、慎重に投与してください。
[参考資料]
適正使用ガイド 3. 副作用2023年8月更新
MA-2023-194 -
免疫障害(感染症、自己免疫性疾患)の発現状況と予防・対処法は?
ポテリジオの治療期間中または治療終了後に、感染症があらわれることがあります。
国内臨床試験において、乾癬の悪化、多発性筋炎、サルコイドーシスが認められています。また、ポテリジオ投与により制御性T細胞が減少するため、自己免疫性疾患が増悪する恐れがあります。
国内臨床試験で規定していた投与法を参考に、感染症に対する適切な予防投与を患者の状態に応じて考慮してください。
ポテリジオの治療期間中および治療終了後は、定期的に血液検査を行う等、患者の状態を十分に観察し、感染症の発現に注意してください。必要に応じて、G-CSF製剤や抗生剤の投与等の適切な処置を行ってください。
〈国内臨床試験で規定していた感染症に対する投与法〉
感染症 投与法 ニューモシスチス肺炎 ・ST合剤(1日1錠または1包を連日あるいは1日2回4錠を週2回)を予防内服してください。
・ST合剤でアレルギー様症状を有する場合は、ペンタミジンイセチオン酸塩(適切な用量)の投与で可です。結核 ・抗結核薬(イソニアジド等)を予防内服してください※。 帯状疱疹 ・予防が必要と判断した場合は、抗ウイルス剤(アシクロビル200~400mg等)を連日予防内服してください。 真菌感染症 ・予防が必要と判断した場合は、抗真菌剤(フルコナゾール、イトラコナゾール、アムホテリシンBシロップ等)を予防内服してください。 - ST合剤:スルファメトキサゾール・トリメトプリム
- ※国内臨床試験では、結核の既往(胸部X線で陰影を認める場合を含む)がある場合は必須としていました。
[参考資料]
適正使用ガイド 3. 副作用
2023年8月更新
MA-2023-194 -
B型肝炎ウイルスによる肝炎の予防法、対処法は?
HBVの増殖により劇症肝炎または肝炎があらわれることがあります。ポテリジオ投与開始前にHBs抗原陰性かつHBc抗体陽性患者において、HBVの増殖により肝炎に至った症例が報告されています。
ポテリジオ投与前にHBV感染の有無を確認し、日本肝臓学会・B型肝炎治療ガイドライン等を参考に適切な処置を考慮してください。ポテリジオの治療期間中および治療終了後は、継続して肝機能検査値(AST/ALT等)や肝炎ウイルスマーカー(HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体等)、HBV-DNA量のモニタリングを行う等、患者の状態を十分に観察してください。異常が認められた場合はポテリジオの投与を中止し、直ちに抗ウイルス剤を投与する等、適切な処置を行ってください。
[参考資料]
適正使用ガイド 3. 副作用
2023年8月更新
MA-2023-194
配合変化・安定性
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溶解後の安定性の検討は行われていますか?
ポテリジオ30mg 及び100mg を生理食塩液200mL に希釈して、室温・室内散光下で24 時間の安定性を検討したところ、希釈直後と比較して、含量、性状、及び純度に変化は認められませんでした。 また、ポテリジオ30mg を生理食塩液250mL に希釈して、室温で24 時間、48 時間の安定性を検討したところ、希釈直後と比較して、含量及び生物学的活性の低下は認められませんでした。
添付文書には、具体的な皮内反応試験方法の一例として以下の記載があります。
14【適用上の注意】
14.1.5 用時調製し、調製後は速やかに使用すること。2023年8月更新
MA-2023-194