副甲状腺癌、原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症の治療
副甲状腺癌、原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症の治療では、いずれの病態も外科的治療(手術)が第一選択です。手術の適応がない患者さんに対しては、病態にあった内科的治療を行います。
外科的治療(手術)
副甲状腺癌、原発性副甲状腺機能亢進症では、手術療法による病的副甲状腺の摘出術(PTx)が第一選択となります。特に、原発性副甲状腺機能亢進症の原因として副甲状腺癌が疑われる場合や、血清補正カルシウム濃度が12mg/dL以上の場合は、外科的治療が強く勧められます。また、「化学型」のような無症候性の場合であっても、国際ワークショップによる手術適応基準に合致すれば手術の施行が検討されます。
国際ワークショップによる手術適応基準は次の4つです。
-
血清カルシウム濃度が基準値上限の1.0mg/dLより高い場合
-
クレアチニンクリアランスが60mL/min未満に低下している、尿中カルシウムの400mg/日超への上昇、腎結石または腎石灰化の画像所見がある場合
-
骨密度が平均からの標準偏差(T score)で-2.5未満(測定部位は問わない)または椎体骨折がある(画像で確認)
-
年齢が50歳未満の患者
副甲状腺癌に対する内科的治療(薬物療法)
副甲状腺癌の内科的治療では、PTHの過剰分泌に伴う高カルシウム血症の症状を緩和することが重要です。
原発性副甲状腺機能亢進症に対する内科的治療(薬物療法)
原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症では、疾患の原因となっている病的副甲状腺を摘出し根治を目指す外科的治療(手術)が基本ですが、手術が困難な患者さんに対しては内科的治療が選択されます。内科的治療では、骨吸収の抑制による骨密度の上昇を目的としたビスホスホネート製剤※による骨粗鬆症の治療やカルシウム受容体作動薬による高カルシウム血症の改善を目的とした治療が行われます。
- ※
- 本邦未承認(原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症または骨粗鬆症に対する適応はありません)
副甲状腺癌の診療手順
原発性副甲状腺機能亢進症の診療手順
KK-19-12-27640(1904)