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秋田大学医学部附属病院
[乾癬治療最前線~患者さんとともに歩む~]

2026年9月15日公開/2026年9月作成

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病院外観
  • ●病院長:渡邊 博之 先生
  • ●開設:1971年
  • ●所在地:秋田県秋田市広面字蓮沼44-2

県内唯一の特定機能病院として
生物学的製剤による薬物療法に注力

秋田大学医学部附属病院は県内唯一の特定機能病院としての役割を担い、主に重症者を対象とした高度専門医療に取り組んできた。皮膚科においても同様に、他院では診断や治療が難しい患者さんの診療を行っている。乾癬治療では、2016年に開設された乾癬・掌蹠膿疱症外来を中心に生物学的製剤による薬物療法に注力し、県内で行われている同治療の約8割を同院で実施している。また、大学病院の強みを生かし、他科と緊密に連携しながら、乾癬性関節炎をはじめ、合併症の予防や早期治療にも熱心に取り組んでいる。

1. 病院の特徴 包括的かつ集学的医療の充実を図り、
超高齢社会に突入した地域を支える

秋田大学医学部附属病院は、秋田大学に医学部が創設された翌年(1971年)に秋田県立中央病院が国に移管される形で開設された。戦後初めて開設された国立大学医学部附属病院として、県民に熱望されて誕生した同院は、開設当初より高度医療を提供し続けてきた。さらに、大学としての使命を果たすため、医師をはじめとする多くの医療人材を育成して県内各地の医療機関に送り出し、かつ未来の医療につながる研究を続けている。

開設から半世紀余りを経た現在も同大学病院は県内唯一の特定機能病院としての役割を担い、重症者を対象とした高度専門医療に取り組み、なかでもがん、難病、循環器病、周産期医療に注力している。また、秋田県は全国で最も高齢化が進み、約5人に2人が65歳以上という超高齢社会に突入している地域の実情を踏まえ、近年は高齢者医療にも目を向けており、多疾患併存(マルチモビディティ)になりやすい高齢者に対応するため、複数の診療科・部門が協働し、包括的かつ集学的医療を行うセンター系医療の充実を図っている。

皮膚科も同様に重症者を中心に診断や治療が難しい患者さんの診療に従事している。近年は、高齢者に増加傾向がみられる皮膚がんに対応することが多くなり、県内外から患者さんが集まってくる。皮膚がんでは全身麻酔を必要とする手術のほか、日帰り外来手術もほぼ毎日行っている。

同時に、県民にできるだけ早く新しい検査や治療を提供できるよう一般的な皮膚疾患についても広く受け入れている。また、一般外来のほか、アトピー・蕁麻疹外来、乾癬・掌蹠膿疱症外来、美容皮膚科・ニキビ外来、褥創外来、爪外来といった専門外来を開設し、より専門的な治療にも熱心に取り組んでいる。

2. 乾癬・掌蹠膿疱症外来 県内全域から有効な治療を求めて患者さんが受診
個別性を重視した観点から治療法を決定

山川 岳洋 皮膚科副科長・医局長/助教

山川 岳洋
皮膚科副科長・医局長/助教

2016年に開設された乾癬・掌蹠膿疱症外来は、当初より皮膚科の山川岳洋 副科長・医局長が単独で診療を担当してきたが、現在は若手医師が加わり、2名の医師体制で対応している。また、2 名の看護師が投薬や自己注射の指導など診療サポートを行っている。乾癬の患者さんも皮膚がん同様に県内全域から受診してきており、定期的に通院している患者さんは200~300人に上る。その中心は50 ~60歳代だが、70~80歳以上の患者さんも全体の3割を占める。

「地域の医療機関からの紹介患者さんが大半を占めますが、必ずしも重症例ばかりではなく、中等症程度の患者さんが多い傾向にあります。当院は県内で行われている生物学的製剤による治療の約8割を担っていることもあり、『効果的な治療法があるから』と地域の皮膚科医から早い時期に勧められて受診される患者さんも少なくありません」と山川副科長・医局長は説明する。

このような背景の中、個別性を重視した治療方針を掲げ、皮疹の状態や関節症状の有無といった身体的所見だけでなく、患者さんの年齢、既往症、治療意欲、通院の利便性、経済的状況などを考慮したうえで治療法を決定している。

「皮疹の状態によっては最初から生物学的製剤を選択することがあります。特に乾癬性関節炎を合併している場合は生物学的製剤を強く勧めます。一方で、生物学的製剤による治療費は高額になるため、関節の腫脹が限局されており、かつ痛みも我慢できる程度であれば、様子をみたり抗リウマチ薬を選択したりすることもあります」(山川副科長・医局長)。

「生物学的製剤については、外用療法と併用することが多い。内服薬に関しては乾癬性関節炎などを合併している場合に抗リウマチ薬を組み合わせることがある。「一部の生物学的製剤では免疫抑制剤を併用することで抗体産生が抑制され、それにより血中濃度が維持されることから、より大きな効果が期待できます」(山川副科長・医局長)。また、病状の急激な悪化を抑えるために、生物学的製剤の導入前後に免疫抑制剤を一時的に併用することがある。ちなみに初診で乾癬性関節炎が疑われる場合はリウマチ内科に検査と診断を依頼している。

また、がんの治療中あるいは経過観察中の患者さんに対しては、がんの進行・再発リスクを考慮し、生物学的製剤の使用を控えている。「がんを併存している場合は光線療法や免疫抑制作用のない外用薬を検討するようにしています」と山川副科長・医局長は言う。

3. アドヒアランスと治療選択 意欲を高め、治療を継続するために
患者さんの意向を尊重した治療を選択

山川副科長・医局長は、薬物療法を継続するためには、「患者さんの意向に沿うことが大切」と指摘する。「例えば、ある薬剤を処方した際、患者さんに“この薬を塗って状態が悪化した”と言われたら、それが患者さんの思い込みであっても薬を続けるように説得するのは困難です。このようなケースでは、ほかの薬剤に変更したほうが患者さんのアドヒアランスは向上します」。

効果が不十分だった場合の薬剤の見直しについても患者さんの意向を念頭に置きながら慎重に対応する。「特に生物学的製剤を投与している患者さんは、薬剤を替えたがらない傾向があります。今使用している薬剤が劇的に効いた成功体験がある分、薬剤変更に対する不安が大きいのです。医師がほかの薬剤のほうが効くと判断して変更を勧めても、患者さんは同じ薬剤を希望し、以前のように再び効果が現れることを期待しています」。従って、現状の薬剤では明らかに効果がない場合を除いては、生物学的製剤ではなく併用する外用薬を変更し、症状をコントロールすることが多いという。

4. 併存疾患の管理 関連する診療科との連携を強化し、
悪化要因となる生活習慣の改善に取り組む

一方、乾癬の症状を悪化させる要因ともなる肥満や喫煙、合併することの多い生活習慣病(糖尿病・高血圧症など)のサポートにも積極的に取り組んでおり、他科と連携して生活改善の指導を行っている。

例えば、メタボリックシンドロームを抱えている患者さんには、糖尿病・内分泌内科が開設する肥満症外来の受診を勧めたり、栄養管理部と連携して栄養指導を行ったりしている。また、喫煙が常態化している患者さんで禁煙指導を希望する場合は、地域で禁煙外来に取り組んでいる診療所を検索できるマップを利用して、受診を案内している。

「乾癬患者さんは心筋梗塞など虚血性心疾患の発症リスクが高いことがわかっていますので、以前より院内の循環器内科に紹介するケースは多いです。近年は脂肪肝を併存する患者さんが増えており、消化器内科とも連携しています。乾癬性関節炎におけるリウマチ内科や整形外科との連携に限らず、他科との連携は積極的に行っています」と山川副科長・医局長は説明する。

5. 展望と課題 症状が安定した患者さんの逆紹介の推進と
薬剤離脱に向けての対策が課題

今後の展望と課題として、山川副科長・医局長は2 つの事柄を挙げる。1つは症状が安定した患者さんを対象とする「逆紹介の推進」である。同病院は生物学的製剤の導入・治療を行える県内随一の施設であるため、対象となる患者さんが集約され、そのまま定着しやすいという実情はあるものの、昨今の医療機能分化を基本とする地域診療体制の再構築に向けて「避けては通れない課題」という。

一方で、地域の皮膚科医に逆紹介することが難しい現状がある。例えば、乾癬性関節炎を併存する場合、生物学的製剤と抗リウマチ薬を組み合わせて処方することが多いが、このような使い方ができる地域の皮膚科医は少ない。「症状が安定してきたとは言っても痛みが完全に消失しない患者さんは多く、処方を中止すると痛みが再燃する可能性も低くありません。そういう人を地域に戻してよいのかどうか判断に迷います」と打ち明ける。患者さんのことを第一に考えて逆紹介を進めるためには、地域の皮膚科医への技術移転を同時に推進していくことも必要となる。

そして、もう1つの課題は「生物学的製剤からの離脱」だ。これは患者さんが最終的に望んでいることでもあり、「その希望が強い場合は叶えたい」と山川副科長・医局長は考えている。「生物学的製剤の効果が高いからこそ離脱が難しいという側面があるものの、乾癬の悪化要因を取り除く生活指導をうまく組み合わせることが、生物学的製剤以外の治療法で症状を上手にコントロールできるポイントになると思います」と山川副科長・医局長は力を込める。

患者さんの意向を受けとめて個別性を重視しながら、その人に合った最適な治療を提供する。山川副科長・医局長は秋田県内全域から早期改善を求めて受診してくる乾癬患者さんに真摯に向き合い続けている。

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乾癬治療最前線

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