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うちだ皮膚科クリニック
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2024年1月9日公開/2024年1月作成

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  • ●院長:内田 敬久先生
  • ●開設:2020年10月
  • ●所在地:神奈川県横浜市保土ヶ谷区上星川3-2-10-2F

患者のモチベーション維持を重視
光線療法やバイオ療法も駆使して症状を改善

「乾癬治療ピラミッド」を構成するすべての治療法に対応し、それぞれの患者に合った治療を計画的に提供している。内田敬久院長は、大学院にて免疫学を研究し地域の中心的な総合病院の皮膚科で、長年にわたり幅広い皮膚科診療に従事。2020年10月1日にクリニックを開業し、今年で3周年を迎えた。患者の治療へのモチベーションを維持することを重要視し、常に患者の言葉に耳を傾け治療に生かしている。「神奈川乾癬友の会」の相談医を務めるなど患者への情報提供、交流にも力を注いでいる。

1. クリニックの特徴 皮膚科専門医として
2020年に開業した駅前クリニック

内田 敬久 院長

内田 敬久 院長

うちだ皮膚科クリニックは、相鉄本線上星川駅前の2階の医療モールにある。「遠方からの患者さんが通いやすい駅前の立地にクリニックをオープンしたい」と物件を探して最終的に選んだ場所で、地理的に横浜市のほぼ中央に位置する。開業は2020年10月1日。3周年を迎えたクリニックだが、口コミ、他院からの紹介、ホームページ、メディアなどを通して、横浜市内を中心に県内の広いエリアから患者が来院している。

内田院長は神奈川県横須賀市の出身で、富山大学医学部を卒業後、横須賀共済病院で研修医時代を過ごした。その後、横浜市立大学附属病院皮膚科に入局して関連病院を行き来しながら大学院で腸管免疫と皮膚疾患について研究。医学博士を取得した。

その後、横浜船員保険病院(現横浜保土ケ谷中央病院)で皮膚科医長に就任した。「それまで研究に従事していたため患者さんを診療する臨床に飢えていたようなところがあって、それぞれの患者さんに強い興味を持って診療にあたっていました。一人医長だったこともあり貴重な経験でした」と内田院長。「一人ひとりに時間をかけて向き合っていたため、それに伴い患者の待ち時間が当然長くなってしまい、時には4時間待ちのこともあった。しかし、待ち時間が長くても、じっくり向き合うことを医師に求めている患者は思いのほか多いことに驚いた」という。

横浜保土ケ谷中央病院時代に新たな治療法の1つとして光線療法に着手。乾癬やアトピー性皮膚炎の治療に力を注いだ。ここでは丸3年間、外来診療、手術、美容、往診、病棟回診を連日こなし、往診を19時から行うこともしばしばあった。入院患者も平均6〜7人いて、かなりのハードワークだったそうだが、その分、医師としていろいろな経験ができ楽しい日々だったと内田院長は振り返る。

「横浜市大に戻ったのは2009年、乾癬の生物学的製剤療法が始まる前年です。このタイミングで大学病院に従事できたことで、乾癬に使用する生物学的製剤に初めから関わることができたのは運が良かったです。当時の池澤教授には本当に感謝しております。現在まで毎年のように新しい薬が承認され発売されてきましたが、その変遷に渦中で携わってこられたのは、皮膚科医としてとてもありがたく、自身のスキルアップになりました」

大学病院では、助教、医局長、病棟医長を兼務。「乾癬外来」を1年間担当した後、横須賀共済病院に皮膚科医長として赴任した。同院には乾癬の専門外来がなかったため立ち上げから担当。乾癬患者を継続的に管理するために必要な書類や体制づくりなども行い、徐々に診療体制を整えていった。

20年近く勤めた基幹病院を退職したのは2018年。今度は、訪問診療を中心に地域密着型の医療を展開する並木小磯診療所(横浜市)の勤務医になった。2年目には院長となり、労務管理のイロハを身につけることができた。

このように、皮膚科医になって以降、大学院生、一人医長、大学での病棟医長、医局員、基幹病院の部長、地域密着型クリニックの院長となり、いろいろな経験を積んだことが糧となり、現在のうちだ皮膚科クリニックで実を結んでいる。クリニックのロゴには、幸福のシンボルとされるナナホシテントウを採用し、UchidaのU、Dermatology(皮膚科)のDを、テントウムシを包むハート型の葉のような形にデザインした。テントウムシの赤と周囲の緑が補色関係であるためよく目立ち、個性が光る。「患者の心の中に幸せが届けられるクリニックを目指します!」と内田院長は語ってくれた。

現在、内田院長とともに働くスタッフは、看護師5名、事務職7名。ほかに週2回、横浜市立大学附属病院所属の医師が外来を手伝いに来ている。

2. 治療対象 一般皮膚科から小児皮膚科、美容皮膚科、
日帰り手術も提供

皮膚科の診療は、感染症(ニキビ、帯状疱疹、とびひなど)やアレルギー/自己免疫(アトピー性皮膚炎、じん麻疹、水疱症)、悪性腫瘍(メラノーマ、皮膚リンパ腫)、手術/手技(陥入爪など)のように多岐にわたる。「なるべく今まで行ってきた経験を活かしたい」という信念のもと、診療では食事や生活指導にも取り組み、手術/手技は可能な限りクリニックで行うよう心がけている。アトピー性皮膚炎と乾癬に関しては分子標的薬使用の承認施設を取得しており、外用、光線、生物学的製剤と幅広く診療が行えるようにしている。

美容診療も行っているが、ダウンタイムが少ない、コスパのよい診療、EBMのある治療を行うように心がけている。特に肌質の改善rejuvenationに力を入れている。「肌がきれいになると心が元気になり、生活も明るく楽しくなる」と内田院長は言う。

例えば、ニキビ患者は、保険診療では出現したニキビを治すことができても、ニキビ痕を消すのは困難なことがよくみられる。ピーリングやエレクトロポレーションなどダウンタイムの少ない施術で、快方に向かうことがよくある。「肌を痛めることなく自然に良い状態にする。気付くと美肌になっています」(内田院長)

また陥入爪も難治な病気で、苦しんでいる人がたくさんいる。弾性ワイヤー、CO₂レザー、VHO、手術など複数の手技を駆使して1〜2年かけて矯正していくという。

3. 乾癬治療 「乾癬治療ピラミッド」のすべての治療法に対応
光線療法では全身型、ターゲット型、エキシマレーザーまで完備

乾癬は、うちだ皮膚科クリニックが最も力を入れる疾患の1つである。特に、高性能の紫外線照射装置による光線療法、生物学的製剤療法も行い、「乾癬治療ピラミッド」のすべてに対応している。そのうえで、基幹病院などにおける乾癬外来での経験を生かし、それぞれの治療にこだわりを持って取り組んでいる。

例えば内服療法では、年齢、関節炎の有無、挙児希望の有無、基礎疾患の状態などに加え、経済的状況にも十分配慮して薬剤を選択する。「中にはかなり高額の薬もありますので、患者さんにとって大きな負担になるという場合には、ほかの内服薬を、リスクとのバランスをとりながら使います。また、複数の薬剤を併用したり、定常量より減らして少量内服させる場合もあります」と内田院長。

光線療法では、機器選びが重要になる。ナローバンドUVBランプを48本配備し、一度に全身に紫外線照射ができる全身型紫外線治療器と、ターゲット型紫外線治療器(エキシマライト)を擁し、症状に合わせて使っている。この秋には、難治性皮膚疾患に有効なエキシマレーザーを新たに導入した。内田院長は、「エキシマライトよりもさらに輝度が高く、レーザーだから短波長で、皮膚に障害を与えることなく確実に患部に照射できるのが利点。導入前に試験的に2カ月使用しましたが、かなりの治療効果が得られます」とエキシマレーザーに大きな期待をかけている。

生物学的製剤療法については、使用承認施設であり、患者のニーズに合わせて導入を行い、維持療法も行っている。「生物学的製剤投与が決まると、まず導入・維持するのは病院かクリニックかを決めます。クリニックに通う方は、①平日の夕方や土曜日にも治療を受けられる、②特定の医師が対応する、などを理由にしており、実際に満足いただいております」と内田院長。「いつでも気軽に相談・通院できる安心感が大きいようです。効果がなければすぐにほかの製剤に変更するというだけではなく、患者さんの症状をしっかり把握し、お話を聞きながら、感染症やストレスなど一時的な悪化要因がないか、他の治療(光線療法や内服の併用など)がないかなど、患者さんと一緒に治療に取り組むようにしています」と話す。

患者とともに治療に取り組むうえで心がけているのは、患者が自分の病気・自身の病態を理解すること。乾癬とはなにか? を何回かに分けて各製薬会社が作成している小冊子を利用して解説する。そして患者自身の病態は重症か軽症か? その患者にとって悪化因子は何かを探る。そのうえで、皮疹が改善していた場合、「良くなっています」だけではなく、実際に皮膚に触れて具体的にどう良くなっているのかを説明する。例えば、「赤みが消えてきましたね」とか「カサつきがなくなりましたね」「皮膚が軟らかくなりましたね」というように評価する。すると患者は、改善を実感できて治療に積極的に参加してくれるようになる。

乾癬の診断をすでに他院で受けている人には、電話にて予約制の「乾癬外来」を受診してもらっている。初診は1日2名まで。スコア、治療のふり返り、生活指導をするために時間をかけて診療を行っている。

「乾癬外来」では、初期症状から今まで受けてきた治療をくわしく聞くところから始める。次にタバコ、肥満、薬剤、感染などの悪化要因がないか、関節症状の有無や、爪病変の有無、他の内科的疾患(高血圧、高脂血症、糖尿病など)の有無、病気のコントロール状況を看護師と協力して行う。

症状は、写真やPASI(Psoriasis Area and Severity Index)スコアで記録。関節症状はPASE、満足度はDLQIにて評価している。診察では、「乾癬治療ピラミッド」の図を示しながら、患者がどの段階にあるのかを説明し、今後の見通しと治療法について内田院長から説明する。生物学的製剤療法の導入が想定される患者には、予め患者向けの解説冊子などを渡して読んでおいてもらう。

外用療法を始めるときには、看護師が塗り方の見本を示したり、実際に患者の患部に塗って、体で覚えてもらったりすることで、薬の使用量や塗り方のコツをしっかり伝える。光線療法の場合は、予約制にして、いつでも待ち時間なく照射できるようにしている。

再診患者のPASIスコアについては、必要に応じて記録する。症状が広範な場合は毎回記録し、改善の経過を数値でも追えるようにしている。

4. 乾癬診療の工夫 コミュニケーションを重視
乾癬患者用に電子カルテもカスタマイズ

こうした特殊な治療を十分な体制で提供できるように、看護師、事務職のスタッフには、同クリニックが乾癬治療に専門的に取り組んでいることを伝えて入職してもらっており、それを理解したうえで、一緒に診療にあたっている。

診療において内田院長が重視しているのは、患者とのコミュニケーション。同じ治療でも、医療側の言葉掛けひとつによって患者のモチベーションが大きく変わることはよくある。「乾癬の治療は高額になる場合も多く、その分、患者さんは慎重になり、要求も高くなります。医師の診療だけでなく、看護師による指導やケア、事務職による説明などでも、患者さんの満足が得られるように勉強会なども行っていますし、業務がスムーズに流れるよう、部署ごとのミーティングも重視しています」と内田院長は言う。

電子カルテにも工夫がある。既存の電子カルテシステムをカスタマイズし、乾癬患者のカルテには、ワンクリックで導入時の採血の指示ができたり、問診で聞くべき内容が予め文章化されている。また、身長、体重を打ち込めば自動的にBMIが算出される、PASIスコアも数字を入力するだけで点数が計算されるといった仕組みを構築している。問診をどの看護師に任せても診察に必要な情報が的確に得られるため、医師が時間をかけずに効率的に診療ができるという。

5. 神奈川乾癬友の会 相談医として患者と交流
患者の言葉から学び治療に生かす

内田院長は、「神奈川乾癬友の会」の立ち上げメンバーの1人であり、現在も相談医を務めている。「患者会は、2012年2月に設立しました。専門医による講演、患者さんの体験談を聞いたり、Q&Aコーナーがあったり、イベントの開催などを通して、患者さん同士が情報を共有したり、相談したり、交流する機会になっています」と紹介する。

「1人で悩んでいる患者さんが、同じ悩みをもつ仲間がいるんだと知る意義は大きいですね。そこで安心感や勇気が芽生え、治療へのモチベーションを高めるきっかけのひとつになりますよね」

今まで年に1回、患者会のイベントを開催していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、ここ数年は対面のイベントを控えていたが、2022年に復活した。

「私自身、友の会の活動を通じて患者さんから学んだことも多くあります。例えば『医者から乾癬は治らない病気ですとキッパリ言われてショックを受けました』とか『医者は、まず患者の話を聞いて意識を共有して欲しい』と。また、『忙しそうで医者にあまり話すことができない』と。知識を与えるだけでなく、患者の要求をくみ取ることの重要性を認識しました」と語る。また内田院長は、おもしろいエピソードをひとつ紹介してくれた。「Q&Aコーナーで高齢の女性から『乾癬の薬を塗ると皮疹がどんどん赤くなり悪化するんです』という質問がありました。医師はお互いに顔を見合わせて『そんなことはない』と回答しました。後日、自分の病院で乾癬の患者に、そのエピソードを伝えると『私もそう思っていました』との返事。よくよく聞くと、外用により白い鱗屑がとれて紅斑が残るので、赤みが強くみえて、それを悪化と判断したようです。このエピソードから、皮疹の状態を患者と共有し正しい病態を伝えるようにしています。とにかくコミュニケーションです」

6. 今後の課題・展望 患者本位に治療が選べる
機能的な地域連携が重要

内田院長は、「乾癬分子標的薬使用承認施設となるクリニックが増えています。今後もバイオ治療に関わる施設は増えてくると思います」と近年の動向を話す。「今後は、基幹病院とクリニックが上手に連携して患者本位の診療が行えるようになるとよいですね。患者が遠方ではなく近隣のクリニックで、都合のよい時間に、気軽に通院でき、必要なときに基幹病院に受診できる。そんな連携が理想ですね」と内田院長は語る。

開業4年目に入ったうちだ皮膚科クリニック。地域の皮膚科医療を牽引していく存在になりそうだ。

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乾癬治療最前線

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