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医療法人慈修会 上田腎臓クリニック
[透析施設最前線]

2026年7月29日公開/2026年7月作成

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病院外観
  • ●院長:塚田 渉 先生
  • ●開設:1986年
  • ●所在地:長野県上田市住吉322

高齢者施設も併設する長野県最大規模の透析施設
保存期の管理から維持期、看取り期まで対応

腎臓・透析医療、総合診療(二次救急まで対応)、介護関連事業を3本柱とする医療法人慈修会。その中心である上田腎臓クリニックは、19床の入院ベッドを持つ有床診療所である。開業時に10床で始めた人工透析は現在までに2つの透析室に合計71床の透析ベッドを擁するまでに拡張され、約250名の維持透析患者が通院する長野県内でも最大規模の透析施設となっている。専門医によるブラッドアクセス管理、個別性を重視したケアなど様々な面から透析の質向上を目指しつつ幅広い患者に対応している。

1. クリニックの概要 地域のニーズに応え続けて40余年
長野県東部の透析医療の要

塚田 渉 院長

塚田 渉 院長

上田腎臓クリニックは1986年、塚田渉院長の父親である塚田修現名誉院長によって、「上田腎臓外科内科」として開設された。入院ベッド19床、透析ベッド10床でスタートし、4年後の1990年に法人化。規模や機能を大きく拡充したのは1996年の上信越自動車道・上田菅平インターチェンジの開通がきっかけで、同インターから車で1分の現在の場所に新築移転した。上田腎臓クリニックのある長野県上田市は、北陸新幹線上田駅を有する長野県東部の中核都市で、2市1町1村で構成する上小医療圏の中心でもある。

1996年の移転時には、透析ベッドを25床に増床したほか複数の診療科を新設し、各科専門医による外来診療を開始。さらに老人保健施設「ほのぼの」も同じ敷地内に開設し、長・短期入所、デイケアといった介護サービスにも着手した。

「新しい機能やサービスは、常に地域の人々のニーズに応える形で少しずつ整えてきました」と塚田院長が言うように、その後も、訪問看護ステーション、居宅介護支援センター、有料老人ホーム、地域包括支援センターなどを順次開設。長野県内では数少ない強化型在宅療養支援診療所として在宅医療にも積極的に取り組んでいる。必要に応じて増築、定員拡大などを重ねてきた結果、2026年4月現在、透析ベッドは71床、ほのぼのは90床、デイケア定員30名など地域でも有数の規模を誇る。

外来診療部門では、腎臓内科、内科・外科、泌尿器科、婦人科、整形外科を開設し、各科に専門医が在籍している。塚田院長は腎臓専門医、透析専門医、総合内科専門医で、生活習慣病の外来なども含めて専門領域の診療を網羅的に行っている。名誉院長と、院長の弟である塚田学副院長は泌尿器科専門医、妻の塚田彩加医師は産婦人科専門医で、それぞれの専門性を生かしつつ家族ならではの密な意思疎通を強みに安定した医療を提供。整形外科は経験豊富な医師を院外から招聘し、一人ひとりの症状に丁寧にアプローチしている。透析を除く外来患者数は1日120〜130名。このうち約半数は院長の患者で、保存期腎不全患者(慢性腎臓病透析予防指導管理料算定対象)は週に25名程度を数える。

CT、胃内視鏡、大腸内視鏡などの検査機器を備えており、内視鏡検査においては、大学病院で長年研鑽を積んだスペシャリストの協力により、がんの早期発見・早期治療を実現している。

シャント造設、人工血管置換術、動脈表在化、PTAといった透析に関連する手術はすべて院内で可能。他院からの手術依頼にも対応しており、特にPTAの実施件数は年間200件以上に上る。

維持透析に特化するのではなく、保存期腎不全患者の外来診療、透析導入、外来透析、夜間透析、入院透析、自宅での生活が困難になった患者の施設での受け入れ、看取りまで、腎不全の患者を長期にわたり、最期までサポートする体制を整えている。

医療職、介護職を含めた法人全体の職員数は約180名。塚田院長は多職種かつ多数の職員の相互理解や組織の活性化を目指し人事異動を活発に行っている。特に透析医療を熟知した看護師が一般外来や病棟業務、施設業務を担うことで全体的に透析患者への理解が進み、医療・介護の質向上に役立つという。また、2年に1回のペースで全職員が一堂に会する忘年会を開催し、コミュニケーションやモチベーションアップを図っている。

2. 透析医療の特徴 グリーンネフロロジーを強く意識
最新システムを駆使して治療効率をアップ

塚田院長は、上田腎臓クリニックが目指す透析医療について、「元気で長生きが何より大事。ADL、QOLともに良いレベルで維持していただきたいと考え、かなり濃厚な医療を提供しています」と紹介する。

CT、胃内視鏡、大腸内視鏡といった検査機器を活用し、がんの早期発見に努めているのもその一環だ。異常が見つかればすぐに院内あるいは連携先の病院で治療を実施する。こうした取り組みの結果、過去10年以上にわたり、同クリニックの透析患者ががんで亡くなるケースは1件も出ていない。足病変の評価やフットケア、栄養指導などにも、患者のQOL向上を目指して熱心に取り組んでいる。

「治療面では、患者さん一人ひとりに合わせた個別性の高い透析で治療効率の向上を図っているのが大きな特徴です」と話すのは、透析室の小菅崇主任(臨床工学技士長)である。「積極的に導入しているのがPre(前希釈)・Post (後希釈)オンライン HDFやI-HDF(間歇補充型血液透析濾過)で、患者さんそれぞれに合った方法を用いています。ダイアライザーも10種ほど在庫し、毎月の血液検査で透析の効果を確認し、改善が必要な場合はダイアライザーを変更するなど素早く対応しています」と説明する。

透析時間は1日4~5時間、週3日を基本としているが、高齢者など虚弱な患者は時間や日数を少なめにしてよりソフトに、逆に働き盛りの患者の場合は活発に活動できるようにより強めの透析を実施する場合がある。「患者さんの循環動態に応じた適切な治療選択と定期的なフォローが透析の質の維持につながっています」と小菅主任は語る。

一方で、装置統合管理支援システムや血液モニタ(BLM)など最新の機器を導入し、透析装置を一括管理している。同クリニックで採用しているBLMは、深部体温変動抑制制御や除水速度自動コントロールといった機能を備えており、温度変化や除水量に起因する血圧低下を予防できる。さらに、血液循環率の計測機能もついていることから、治療効率の向上にも役立っている。

近年、多くの透析施設で、従来の透析システムと同等の透析効率を維持しながら水資源を大幅に節約するグリーンネフロロジーへの移行が見られるが、上田腎臓クリニックでも早期からこのグリーンネフロロジーに着目している。小菅主任によれば、装置統合管理支援システムはグリーンネフロロジーの観点からも有用で、環境負荷の低減に貢献している。また、RO装置、多人数用透析液供給装置、A・B粉末自動溶解装置、透析用監視装置と連携し、警報や注意報をスタッフに迅速に通知する集中管理機能を備えている点は、災害時など非常時に特に役立ち、透析室の安全性向上につながっているという。今後はさらに自動化を進め、安全性の向上、業務の効率化などを推進していく考えだ。

3. 2つの透析室 機械室、非常用設備も2系統完備
看護師とCEがチームで担当患者をサポート

透析室は第1透析室と第2透析室の2つに分かれている。透析ベッドは第1が35床、第2が36床の計71床。前者は車椅子を使用するなど重症度の高い患者が中心、後者は自立度の高い患者が中心だ。2室はそれぞれ独立した機械室を持っているため、なんらかの理由で片方が停止してしまっても、もう片方で補うことで透析を通常通り継続できる。

災害対策面では、自家発電機や貯水槽も、2室別々に完備している。また、資材の配給元企業や軽油の供給元である地域のガソリンスタンド、上田市の水道局など関係先との連携をしっかり行い、有事にも滞りなく透析を継続できる準備を整えている。

スタッフは2室合計で看護師30名、臨床工学技士(CE)11名、介護助手6名で、このうち看護師4名、臨床工学技士3名、介護助手2名が第2透析室に勤務。残りのスタッフが交代で第1透析室に勤務しながら病棟業務や手術室業務なども担当している。

看護師と臨床工学技士は患者担当制で1人の患者に必ず1人、各職種の担当がついている。そのうえで、看護師と臨床工学技士がチームを組んでそれぞれの担当患者をフォローし合う仕組みだ。担当者は、各患者の検査値の管理や、他院を受診する際の段取りや案内、家族との連絡などの役割を担う。各チームにベテランスタッフを配置しているので、チーム活動がそのまま人材育成の場にもなっている。「臨床工学技士は、機械の操作や管理だけでなく、患者さんのケアや指導にも直接関わっています。ベテラン看護師に直接教えてもらいながら若手技士も成長しています」と小菅主任が言う。

外来透析患者数は約250名。年齢層は30代から100歳以上まで幅広い。患者の居住地は上田市内をはじめ隣接する東御市、坂城町、青木村、小諸市など広範囲で、片道30分以内を基準に行っている無料送迎バスを約30名が利用している。

透析スケジュールは月・水・金が午前(8:00-13:00)、午後(13:00-17:00)、夜間(17:00-22:00)の3クール、火・木・土が午前、午後の2クール。夜間透析の対象は主に仕事を持つ患者で30名前後である。

4. 人材育成 プリセプター制度とオリジナル動画でCEを養成
学会参加や資格取得も推奨

人材育成の仕組みも充実している。たとえば臨床工学技士の場合は、新人にはプリセプターが必ずついて、日々の業務の指導や学習支援などを行う。新人の成長に従い徐々にプリセプターの役割は減っていくが、それでも3年間は見守り、様々な支援を行うことになっている。また、新しい機器の導入、新しい薬の採用といったタイミングで院内勉強会を開き、知識を共有している。

手技に関しては、オリジナル動画による指導が成果を上げている。この動画は、患者への対応、穿刺、血液回路の準備、返血作業などについて、上田腎臓クリニックのやり方の手本をベテランスタッフが示したもので、実際の透析室で撮影した。「動画作成のきっかけは、『教わったその場ではわかったつもりになっても、家に帰るとわからなくなってしまう。気になった時にいつでも確認できるツールがほしい』といった新人からの声でした。紙ベースのマニュアルもありますが、動画の方がより理解してもらいやすいようです」と小菅主任。動画をよりわかりやすくするために、重要な部分は速度を落として繰り返すといった工夫もしている。

学会発表にも積極的で、長野県透析研究会、日本透析学術集会には毎年参加している。演題発表をする際には、学会参加にかかる費用をクリニックが経費として負担している。また関連資格の取得も推奨しており、たとえば臨床検査技師の資格を持つ看護師がシャントエコー検査を行うなど活躍している。

5. 介護老人保健施設 医療施設併設が最大の強み
「透析×リハビリ×介護」という新しい選択肢を提供

介護老人保健施設「ほのぼの」は3階建てで上田腎臓クリニックに隣接している。クリニックの新築移転に伴い開設された1996年当時は入所50床、デイケア定員10名だったが、1999年にデイケア棟が新設されデイケア定員を30名に拡大。この年、施設2階に有料老人ホーム「しなの木」(定員10名)も開設している。さらに2005年、新棟が完成し、ほのぼのは90床に拡大された。現在の定員は一般ケア50名、認知症ケア40名。2005年にはショートステイ用の居室(全室個室)9床も設けられた。

ほのぼのに勤務する一之瀬仁支援相談員は、「ほのぼのの介護老人保健施設としての最大の特徴は、医療機関併設という点です。透析患者さんをはじめ、重い疾患や障害のある高齢患者さんにとって、日頃から医師に健康管理をしてもらえて、体調が急変した時などにもすぐに受診できる、必要があれば入院も可能という環境はとても安心だと思います。有料老人ホームなどに比べて比較的費用が安いうえ、入所だけでなく、ショートステイの活用により在宅介護をしている家族の負担軽減ができるのも利点です」と話す。

現在、ほのぼのの定員90名のうち、透析患者だけで30〜40名を占める。入所している透析患者は、透析室の準備が整い次第、居室から透析室に移動するだけで透析を受けることができ、終了後はすぐに自分の部屋に帰ることができる。「外来透析患者さんのように通院の負担がなく、天気や気温の心配をする必要もありません。一般に、透析患者さんにとって介護施設の壁は非常に高く、入所を断られるケースも少なくありません。当施設は、そんな患者さんの受け皿にもなっています」と一之瀬支援相談員が言う。

ほのぼのは「食事と栄養管理」および「専門的なリハビリ」にも力を入れている。高血圧や糖尿病など持病を持つ人も多く、食事は2名の管理栄養士が管理。また、咀嚼・嚥下機能に応じて刻み食、ソフト食、ペースト食、嚥下食など様々な食事形態に対応している。基本的に入所して2度くらい食事を提供した後に管理栄養士が聞き取りを行い、可能な限り本人の嗜好に合わせて改善を加える。パンや麺を希望する場合にもできる限り対応。季節感や盛り付けも工夫し、食べる意欲を引き出すことを大事にしている。

リハビリテーションは、PT、OT、STの3職種が3名ずつ常勤し、グループリハビリ、生活リハビリ、個別リハビリなどをきめ細かく実施している。入所、ショートステイ、デイケアなど利用の形を問わず専門的なリハビリを提供している。STは嚥下訓練や安全な食べ方の指導などを担当。また、飲み込みに問題の見られる利用者については、上田腎臓クリニックのレントゲン室で嚥下造影検査を行い、状態を正確に把握したうえで嚥下機能の維持・向上を目指している。

ほのぼのにはリハビリ3職種のほか看護師16名、介護福祉士を中心とする介護職45名が勤務し、協力し合い、クリニックとも連携しながらより良い介護を追求。透析室の前室長がほのぼのの看護師長に就任するなど法人内の活発な人材交流もあり、組織をあげての医療・介護を実現している。「透析×リハビリ×介護という当施設の形は、透析患者さんの老後の不安を解消する新しい選択肢だと思います」と一之瀬支援相談員は強調する。

6. 今後の展望 地域の透析医療を支える存在として
規模・機能の拡充を図る

長野県透析医会理事でもある塚田院長は、地域や県全体の透析医療を俯瞰し、「小規模の透析施設を中心に閉鎖が見られるなど患者さんを支える施設が減少傾向にあることは否めません」と指摘。「今後、若い世代の透析患者さんは減少しても、高齢の患者さんはまだ増えると思われます。そうした患者さんが安心して暮らせるように、当クリニックのような規模の大きなところが頑張らないといけません」と語る。

こうした使命感を持ったうえで、今後もこれまで通りニーズに対して丁寧に応え、質を維持しながら受け入れ体制を強化していくことを基本方針に挙げる。「現状にとどまるのではなく、必要があれば規模、機能ともに拡張していくつもりです」と、さらなる成長を見据えている。

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透析施設最前線

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