KYOWA KIRIN

このサイトは、日本国内の医療関係者(医師、薬剤師、看護師、技師・技士等)を対象に、弊社が販売する医療用医薬品を適正にご使用いただくための情報を提供しています。国外の医療関係者、一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
このサイトのご利用に際しては、協和キリンメディカルサイトのご利用条件が適用されます。

医誠会国際総合病院薬剤部/
新大阪医誠会透析クリニック
[透析施設最前線]

2025年7月17日公開/2025年7月作成

印刷用PDF

病院外観
  • ■新大阪医誠会透析クリニック
  • ●院長:長谷川 申治 先生
  • ●開設:1992年8月
  • ●所在地:大阪市淀川区西中島5-5-15 新大阪セントラルタワー南館8F
  • ■医誠会国際総合病院
  • ●理事長:谷 幸治 先生
  • ●病院長:峰松 一夫 先生
  • ●開設:2023年10月
  • ●所在地:大阪府大阪市北区南扇町4−14

アクセス抜群の立地で夜間透析も実施
グループ病院のバックアップで幅広いニーズに対応

新大阪駅から徒歩5分というアクセス抜群の場所で人工透析に特化した医療を提供している新大阪医誠会透析クリニックは、大阪府を中心に医療・介護ネットワークを展開する医療法人医誠会グループの一員だ。グループ病院である医誠会国際総合病院などによる万全のバックアップ体制を最大の強みとし、緊急透析・シャントトラブルなどにも迅速に対応。同院薬剤部との連携で腎臓病薬物療法にも専門的に取り組んでいる。夜間透析、旅行透析といった幅広いニーズに応えつつ、栄養指導、腎臓リハビリテーションなど生活支援にも力を注いでいる。

1. 医誠会薬剤部の特徴 病院、クリニック、老健施設の薬剤部門を統括
最新の設備と体制で選ばれる病院づくりに貢献

医療法人医誠会グループ8病院のうち、大阪市内の2つの急性期病院が合併統合し、2023年10月、国際標準の総合病院を目指す高度急性期病院として新たに誕生した医誠会国際総合病院。診療科数は46、病床数は560床(うちICU26床、SCU12床)。「断らない救急」「待たせない救急」を実践し、大阪府二次救急告示医療機関の指定を受けている。

医療ツーリズムを含めた国際医療、ゲノム医療、AI・IT の活用などさまざまな新しい取り組みを推進する中で、薬剤部もまた、最新の設備と体制を構築している。AI・ITを駆使した最先端の全自動薬剤払出機、自動分包機、監査システムなどを活用した自動化の推進により人員配置の合理化と業務の効率化を実現。それにより多職種とのコミュニケーションの時間、患者対応の時間を増やし、チーム医療の強化、患者満足度の向上につなげている。医誠会国際総合病院と新大阪医誠会透析クリニックとの連携を含めた同会薬剤部の特徴を紹介する。

薬のことに関しては薬剤師が100%責任を持つべき、という当法人の谷幸治理事長の方針のもと、調剤、病棟、抗がん剤調製、医薬品管理、医薬品情報といった各種薬剤業務に取り組むほか、治療成績向上のための薬物療法の評価・提案も積極的に行っている。また、採用薬は法人全体で統一し、新薬の採用も薬剤師主導で行っている。調剤については"処方発生時点での解決"を重視しており、医師が処方せんを発行したらすぐに薬剤師が処方監査を行い、安全性を担保しながら確実に調剤を行うことを目指して、グループ内7つの病院、6つの老人保健施設それぞれに薬剤師を配置しているのが大きな特徴だ。特に老健施設にはベテランの薬剤師を配置し、人生経験豊かな高齢の入所者、ケアスタッフなどとコミュニケーションを図りながらモニタリングを行い、最適な薬物療法が継続できるよう配慮している。

薬剤師のスキルアップにも力を入れており、各学会の認定資格、特に診療報酬算定に関係する資格の取得を後押ししている。また、学術集会と称して毎年、職種ごとの成果発表の機会をつくり、そこで優秀と認められた発表を全職種で共有し優秀演題を表彰している。学術集会は発表や評価という意味だけでなく、情報交換の場としての意義が大きい。

薬剤部のミッションは法人のミッションと同じで、ペイシェント・ファースト。「患者さんに選んでいただき、気持ちよく受診していただく」。そんな病院づくりに貢献することを重視している。そのためには薬剤師として自立した仕事をすることはもちろん、多職種と連携し、患者情報を共有しながら、その情報を薬剤師の視点で分析し、医師などにフィードバックする。最終的には患者にとって不適切な処方の減薬を目指しており、処方発生時の全人的医薬品処方管理を徹底することで、患者さんのQOLの維持・向上を図っている。患者第一主義を徹底することが選ばれる病院づくり、さらには医療費削減など社会貢献にもつながる。

2024年度から本格化した医師の働き方改革を受け、業務のタスクシフトにも注力している。その前提として、どの業務を誰が行っても一定のレベルが保てるように、業務の標準化を進め、人為的ミスの削減にもつなげている。医誠会グループに勤務する薬剤師は137名。うち86名が医誠会国際総合病院に在籍している。

2. 新大阪医誠会透析クリニックの特徴 新大阪駅近くのビル8階にある42床の人工透析センター
夜間透析や旅行透析、外国語など幅広いニーズに対応

長谷川 申治 院長

長谷川 申治 院長

新大阪医誠会透析クリニックは、JR新大阪駅から徒歩5分の場所に建つ新大阪ワシントンホテルプラザに直結するビルの8階にある。アクセスの良さから、近隣に在住・在勤する透析患者をはじめ、出張中、旅行中に利用するケースも多い。

通院患者の居住地は、淀川区、豊中市、吹田市はじめ大阪府北部が中心だが、中には京都府から大阪市内に通勤しており、仕事が終わった後、同クリニックで透析を受け、最終電車で帰宅する患者もいる。診療時間が8:30〜23:30で、毎日、午前(8:30〜)・午後(15:30〜)の2クールを実施し、送迎時間や患者の都合に合わせて入室時間をフレキシブルに設定。車椅子対応の福祉車両も含めて3台の送迎車を完備し、患者の自宅や高齢者施設などへの送り迎えを行っている。高齢患者の多い午前中は、約6割が送迎サービスを利用している。

外来透析患者の数は、2024年8月現在94人。出張や旅行で大阪に訪れた人など臨時透析の件数は季節などにより変動があるものの月平均5件程度で推移している。海外旅行客の利用もある。
「英語と中国語については堪能なスタッフがいるのでそのスタッフが対応しています。その他の言語の場合は、翻訳ソフトなどを活用します。いまは、外来通院されている患者さんの中にペルーの方がいらっしゃり、その方ともスペイン語の翻訳ソフトで対話しながら、順調に治療を受けていただいています」と、国際色豊かな現場の様子を長谷川申治院長が紹介する。

新大阪医誠会透析クリニックのスタッフは、医師が長谷川院長1名、看護師16名、臨床工学技士6名、ヘルパー4名、事務職3名である。長谷川院長が日本内科学会認定内科医、日本透析学会専門医、日本腎臓学会専門医などの資格を持つほか、フットケア指導士の資格を持つ看護師も在籍している。また、腎臓リハビリテーション指導士の資格取得もクリニックをあげて推進している。

長谷川院長は定期的にスタッフミーティングを開き、新規の患者の情報や、通院中の患者の他院の受診状況、体調などの情報を共有している。また、看護師とともに透析中の回診を行い、当日の体調や患者が気にしていること、服薬状況、生活状況などさまざまなことを聞く。「私には言いづらいこと、言い忘れたことなどを後で看護師が聞き取ってくれることも多々あります。そうした情報も常に共有しています」と院長は言う。

そんな中で、たとえば最近歩きづらい、足がふらつくといった訴えをキャッチすれば、院長とスタッフで相談し、エルゴメーターによる運動など腎臓リハビリテーションを開始することもある。「透析中のリハビリテーションにより筋力アップを目指すとともに、転倒しないように気を付けて歩くようになるといった患者さんの意識の変化は感じています」と続ける。

人工透析センターの透析ベッド数は42床。うち2床は個室で、感染症流行時などだけでなく、あらかじめ予約すれば特別個室として使うことも可能だ。ベッドの割り振り、患者の案内などは、その日、リーダーを務める看護師が管理する。個室を含めてすべての透析装置で一般的な血液透析とオンラインHDFが可能である。また、LDLアフェレーシスにも力を入れており、国立循環器病研究センターとの連携により、近隣の循環器内科などから紹介された家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症などの患者を受け入れている。

室内は広々していてベッド間隔も広い。ベッドごとにテレビがついているほか、Wi-Fiも完備されている。更衣室には患者ごとの貸出制のロッカーが十分な数設置されており、毎回使用するものはロッカーに保管できる。

3. バックアップ体制 緊急時対応や入院透析などをグループ病院が担当
患者情報を共有し最適な医療を提供

新大阪医誠会透析クリニックの人工透析専門施設としての大きな特徴に、グループ病院の全面的バックアップ体制が整っているという点がある。
「患者さんが急変された場合など、一般の透析施設では受け入れ先を探すのに苦慮するケースもあると聞きますが、当クリニックの場合は、グループ病院で大阪府二次救急告示医療機関である医誠会国際総合病院と日頃から緊密に連携し、ちょっとした異変であっても、いつでも相談できるので、何かあったときには迷わず病院に搬送するようにしています。また、入院透析が必要になった場合には、同じくグループ病院である摂津医誠会病院や茨木医誠会病院に患者さんを任せることができます。こうした環境は私たち医療者にとっても、患者さんにとっても安心できるもので、とても助かっています」と長谷川院長が言う。

これまでには、透析中に胸痛を訴えた患者の心電図検査をクリニック内で行ったところ、心疾患の可能性が高いと判断されたためすぐに医誠会国際総合病院に連絡し、病院救急車で迎えに来てもらって搬送、速やかに治療できたケースなどがあるという。新大阪医誠会透析クリニックでできる検査は、血液検査や心電図検査のほか、レントゲン検査、ABI検査、法人内の臨床検査技師が定期的に来て行う超音波検査などがある。これらで異常が見つかった患者には、できるだけ早く病院で精査を受けてもらう仕組みだ。

新大阪医誠会透析クリニックと医誠会国際総合病院は患者情報を共有しているため、クリニックの患者が病院を受診したり入院加療を受けたりして戻ってきた場合の対応もスムーズだ。特に前述したような急な入院加療を要する際は、医誠会国際総合病院との施設間搬送を使用することで、迅速な対応を可能としている。シャントトラブルに関するバックアップ体制も整っており、導入病院など患者が希望する病院での対応が難しい場合などは速やかに医誠会国際総合病院が対応する。

4. 今後の課題・展望 個々のニーズに応えるべく信頼関係構築に努力
1人でも多くの腎不全患者に質の高い快適な透析医療を提供

2024年2月までは、グループ病院の1つである神崎中央病院(滋賀県東近江市)で後期高齢者を中心とした入院透析を担当していた長谷川院長は、新大阪医誠会透析クリニックについて、平均年齢も低く、仕事をしている患者も多いなど、患者層の違いを実感している。「末期腎不全の方でも透析を継続することで本来の日常生活に近い生活を送れる時代ですので、人工透析がその方の生活の一部であるという意識を持つことが大事だと感じています。これからも患者さんの意思を尊重しながら、より良い生活を送っていただけるように取り組んでいきたいと思います」と話す。

個々のニーズに応えるためにも、長谷川院長が大事にしたいと思っているのは、患者一人ひとりとのコミュニケーションだ。
「合併症などのある患者さんとは、比較的コミュニケーションの機会を持ちやすいのですが、特に問題なく、透析だけを継続されている患者さんの場合、お話しする機会が少ないので、そういった方々が日々、どのような思いでおられるのか、少しずつお話ししながら信頼関係を築いていけたらと思っています」

今後は送迎車の増発など患者サービスをより推進していく方針。「これからも1人でも多くの腎不全患者さんに、質高く、快適な透析医療を提供できるように努力していきます」と、長谷川院長は抱負を語る。

KKC-2024-00757-1

透析施設最前線

おすすめ情報

  • おすすめ情報は、協和キリンのウェブサイトにおける個人情報の取扱い方針に基づき、お客様が閲覧したページのアクセス情報を取得し、一定の条件に基づき自動的に表示しています。
    そのため、現在ご覧いただいているページの情報との関連性を示唆するものではございません。