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菜の花皮膚科クリニック
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2022年12月1日公開/2022年12月作成

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  • ●院長:菅原 祐樹 先生
  • ●開設:2007年
  • ●所在地:岩手県一関市山目字中野62-1

治療の継続性を重視し、
サポート体制の充実に注力

菜の花皮膚科クリニックは、地域で唯一の皮膚科クリニックとして専門的な治療を必要とする乾癬にも積極的に対応している。光線療法をはじめ、乾癬治療を提供する際には継続性を重視し、看護師らの協力も得ながら患者が通いやすい環境づくりとサポート体制の充実に取り組んでいる。

1. 地域におけるクリニックの役割 得意分野を持つ専門医を数多く揃え、
皮膚に関するあらゆるニーズに対応

菅原 祐樹 院長

菅原 祐樹 院長

「菜の花皮膚科クリニック」は、岩手県の県南地域となる一関市に2007年に開院した。その診療圏は広域で、隣接する宮城県の県北地域(栗原市、気仙沼市など)からも患者が多数来院する。遠方から通院する患者の利便性を図るために、2017年には一ノ関市と気仙沼市の中間に位置する千厩地区に分院(菜の花クリニック千厩)を開院し、ここでも皮膚科の診療を行っている。

この地域において皮膚科を標榜する単科クリニックは同院1カ所という現状の中、菅原祐樹院長は医師の充実に注力してきた。現在は、さまざまな得意分野を持つ9名の皮膚科医、形成外科医で診療を行い、一般的な皮膚疾患をはじめ、難治性のアレルギー疾患、局所麻酔による日帰り手術、美容皮膚科まで皮膚に関する地域のあらゆるニーズに対応している。

皮膚科では光線療法に力を入れ、ナローバンドUVBを搭載した紫外線治療器や近赤外線治療器などを揃え、尋常乾癬、掌蹠膿疱症、尋常性白斑、円形脱毛症、帯状疱疹後神経痛など難治性皮膚疾患への治療を中心に活用している。2020年12月には最も高い輝度の紫外線を照射することができる最新型レーザー治療器を、東北地方の医療機関で初めて導入し、中波紫外線領域の対象となる皮膚疾患(乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉腫症、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎など)の治療に使い始めている。

一方、美容皮膚科では丁寧なカウンセリングを基本に高性能の治療機器を駆使した施術を行い、患者が東京や仙台などの大都市圏にある美容皮膚科クリニックをわざわざ受診しなくても、そこと同等もしくはそれ以上のレベルの美容医療を提供している。

近年は、往診も重視し、通院できなくなった自院の高齢患者のほか、内科や高齢者施設からの要請にも積極的に対応している。「皮膚科が得意とする褥瘡管理のニーズが多いですが、老人性乾皮症や水疱疾患などによるかゆみや痛みに苦しんでいる高齢者も少なくありません。夜、眠れないなどQOLを著しく低下させるため、皮膚科の介入は重要です。往診は地域に対する責務だと捉え、やりがいを持って取り組んでいます」と菅原院長は語る。本院では毎週水曜・木曜・金曜を往診日に充てるほか、分院でも往診活動を行っている。

2. 乾癬治療の方針 診療ガイドラインを遵守し、
複数の治療を組み合わせる

専門的な治療を必要とする難治性皮膚疾患の中では「乾癬治療」に積極的に取り組んでいる。通院している乾癬患者は150名で、そのうち9割が尋常性乾癬だ(22年10月現在)。患者は40代を中心に壮年期の男性が多く、メタボリック症候群や生活習慣病を併存している人が大半を占める。「患者さんの多くは皮膚に異常を感じて自ら当院を受診しており、他院からの紹介はほとんどありません」と菅原院長は受診経路について説明する。

乾癬治療では、診療ガイドラインの指針を遵守し、外用薬治療をベースに光線療法と内服薬治療を症状に応じて組み合わせる。外用薬治療では、外用薬を正しく塗布しないと皮膚の状態が改善しにくいため、患者が外用薬を初めて使うときは看護師が時間を取り、塗布の回数や分量を守ることの必要性と重要性を説明したうえで、塗布方法を具体的に指導している。また、皮膚科医は患者のライフスタイルや季節に応じて外用薬の剤型を変更するなど、正しく塗布できる環境づくりに配慮する。

3. 乾癬治療の特徴1 多職種がチームを組んで
光線療法の継続をサポート

光線療法は、ナローバンドUVBによる紫外線治療を主に行っている。「全身型(立位)と横型の治療器を用意し、患者さんの年齢、照射部位、皮膚の状態などによって使い分けています。光線療法の効果を得るには継続することが何よりも重要です。働き盛りの患者さんが多くて仕事と治療を両立させるのは難しい面がありますが、患者さんにはトータルの照射回数を意識しながら根気よく続けていきましょうと励ましています」と菅原院長は話す。

こうした診察時の言葉がけだけでなく、患者が治療を継続できるようなサポートにもチームで取り組んでいる。例えば、光線療法を予約するための専用電話回線を設置し、看護助手がすべての予約を管理する。約30名通院している光線療法の患者の公平性を保つために次回のみの予約とし、日時の変更も1回限りとするルールを設定する。

「夕方4時以降が混み合いますが、できるだけ待ち時間が発生しないように予約を入れていきます。診察後、受付窓口で予約を取られる患者さんには予約枠に空きがあれば診察当日でも照射できることを案内するなど臨機応変に対応することを心がけています」と光線療法の管理全般を担っている小野寺みゆき主任看護師は説明する。

一方、光線療法の照射現場では安全性を最も重視する。線量をセットする看護師とその線量を確認する看護師と2人1組で業務にあたり、ダブルチェックを徹底する。「実は照射時間のセットを間違えて患者さんに軽いやけどを負わせるインシデントを起こしたことがあり、そのときの深い反省からチェック体制を強化しました」と菅原院長は打ち明ける。

さらに、患者ごとに照射記録シートを作成し、そこに照射の詳細を毎回書き込み、インシデントやアクシデントを起こさないようにスタッフの情報共有を図っている。「照射中も看護師は在室するようにしています。特に高齢の患者さんで転倒が心配される人には傍に付き添います」(小野寺主任)。

また、看護師は照射のサポートにあたり、患者の悩みや心配を引き出して皮膚科医にフィードバックすることにも務めている。小野寺主任によると、照射前に皮膚の状態を看護師が確認するので、その機会を捉えて積極的に日常の様子を聞くようにしているという。「看護師たちがきめ細かく対応してくれていることも患者さんの継続のモチベーションを高めることに貢献していると思います」と菅原院長は評価する。

4. 乾癬治療の特徴2 治療選択の重要な情報となる
費用の説明は必ず医師が実施

内服薬治療は、中等症から重症の乾癬が主な対象となる。「切れ味のよい内服薬が開発されたおかげで、診療所で行える治療の選択肢が広がりました。当院では中等症から重症であっても内服薬と光線療法を併用することで、約9割の患者さんは乾癬のコントロールが可能になりました」(菅原院長)。

残り1割のコントロールできない患者が生物学的製剤の対象となるわけだが、患者が導入を希望する場合は生物学的製剤承認施設である岩手医科大学附属病院皮膚科に紹介している。2020年における同病院との連携状況は、1年間に約20人の患者を紹介し、そのうち導入後に戻ってきた患者は10~12人だという。菜の花皮膚科クリニックでは、これらの患者に対して「二人主治医制」という形で生物学的製剤の維持療法をサポートする。

この場合、副作用を早期発見するためにスクリーニング検査を行うのが主な仕事で、「治療の安全性を担保することが連携施設である私たちに与えられた大切な役割の一つだと思います」と菅原院長は話す。複数の医師で患者にかかわれる診療体制があるのも、患者の症状の変化にいち早く気づくうえでメリットになっているという。ときに症状が悪化することもあり、その際には岩手医科大学附属病院の主治医と相談するよう患者にアドバイスする。

一方で、生物学的製剤の治療を希望しない患者も一定割合いる。その原因の一つが高額な治療費だ。この対策として、同クリニックでは治療の対象となる患者には皮膚科医が必ず治療費の説明を行う。「費用の情報は治療選択において重要な判断材料の一つになりますから、治療費の総額はいくらかかり、1カ月の自己負担金はどのくらいになるのか、高額療養費制度を利用すると自己負担金はどのくらい軽減されるのか、具体的に金額を示して詳しく説明していきます」(菅原院長)。

費用のほかにも妨げになっているのが外来通院による患者への負担だ。生物学的製剤を使うためには岩手医科大学附属病院に定期的に通院しなければならないが、その移動には車で片道1時間半もかかるため、仕事との両立が図れず、あきらめる患者も少なくないという。

5. 今後の展望 患者の利便性を高めるために
地域で完結する診療体制構築を

菅原院長が患者と向き合う際に大切にしているのは"寄り添う"ということだ。「乾癬は実質的には治る病気ではなく、コントロールして一生付き合っていかなければならないものです。しかし、治らないといわれると患者さんは治療を続けるのが嫌になる。だから、治らないとはいいません。この症状は抑え込めるので一緒に頑張っていきましょうと」。

そして、患者の治療意欲が少しでも高まるようにほめることを意識する。また、治療がマンネリ化してきて症状のコントロールがうまくできていない人には、新しい選択肢を提案し、治療に再び向き合えるよう気持ちの面を含めリセットを促していくという。

「患者さんの利便性を考慮すると、ゆくゆくは生物学的製剤承認施設の認可を受けることも視野に入れていきたい。岩手県の県南・宮城県の県北地域で唯一の皮膚科専門クリニックとして、この地域で完結する診療体制を構築していくのが当院に与えられた使命だとも思うからです」と菅原院長は展望を語る。

患者がどこで暮らしていても標準的な専門医療を受けられるように――。菜の花皮膚科クリニックの挑戦はこれからも止まることはない。

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乾癬治療最前線

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