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医療法人社団 美久会
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2022年12月8日公開/2022年12月作成

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岸山皮膚科

  • ●理 事 長:國分 純 先生
  • ●開設:1997年
  • ●所在地
    ・ 國分皮膚科:
    北海道北見市栄町2丁目1-15
    ・ 岸山皮膚科:
    北海道北見市桜町5丁目20-1
    ・ 國分医院網走皮膚科クリニック:
    北海道網走市南6条西1丁目6-1
    ・ 美幌皮膚科:
    北海道網走郡美幌町字稲美89番地56

「オホーツクで東京と同じ医療を」をモットーに
4つの皮膚科で地域医療に貢献

北海道・オホーツク地域に圧倒的に不足していた皮膚科医療を補完し地域医療を充実させるべく、1997年に開業した女満別皮膚科クリニック(後に改名・移転)が出発点。その後も皮膚科の足りない地域を選んでクリニックを開設。現在は北見市に2施設、網走市、美幌町に各1施設、計4つの皮膚科を運営し、日々進化する医療技術・情報をキャッチアップしながら、大都市圏に勝るとも劣らぬレベルの皮膚科医療を提供している。継続的に診ている乾癬患者数は、法人全体で約560人と、オホーツク地域でも突出して多くなっている。

1. 法人の概要 銭湯を改修した診療所からスタート
オホーツク地域の皮膚科医療の充実を図る

菅原 祐樹 院長

國分 純
医療法人社団 美久会 理事長/美幌皮膚科 院長

北海道北東部、オホーツク海に沿うように広がるオホーツク地域は、3市15町からなる広大な地域だ。この地域にはほんの二十数年前まで、皮膚科専門の医療機関がほとんどなかった。そんな状況を改善し、地域の人々に質の高い皮膚科医療を提供しようと1997年5月、オホーツクに開業したのが「女満別皮膚科クリニック」、後に「國分皮膚科」に改名し、北見市に移転した皮膚科診療所である。

創設者は、医療法人社団美久会の國分純理事長だ。「女満別皮膚科クリニックは、廃業した銭湯を改修して開いた小さな診療所でした。スタッフも最初は私と看護師2名、事務職員2名だけ。ところが、開業初日に患者さんが170人も来られまして。慌てて看護師と事務職員を2名ずつ急募して対応したことを、昨日のことのように覚えています」と國分理事長が振り返る。

同クリニックが北見市に移転したきっかけは、北見医師会の白川久成会長(当時)からの「北見で皮膚科をやってほしい」という要請だった。もともと北見市内のクリニックで院長をしていた経験もあった國分理事長は、その要請に応え、北見に戻ってあらためて「國分皮膚科」を開業したのである。移転により不足する網走の皮膚科医療については、自らの父親が営んでいた診療所を、「國分医院 網走皮膚科クリニック」として継承することで補った。

その後さらに、2005年4月、北見市に「岸山皮膚科」を、2010年4月、美幌町に「美幌皮膚科」を開業し、現在は4施設を運営しているが、國分理事長は、「すべては地域医療のため」と、その開設目的をシンプルに語る。

皮膚科の不足している場所ばかり選んで開業してきたこともあり、4施設はいずれも常に患者でいっぱいだ。1日の外来患者数は、各施設とも少ない日で200人前後、多い日は300人を優に超える。加えて國分皮膚科では定期的に往診も行っており、國分理事長の勤務日には、外来と訪問を合わせて1日400人を診ることもあるという。

4施設は、それぞれの地域に良質の皮膚科医療を提供することを使命としており、法人内での役割分担などは特にはないが、岸山皮膚科は、紫外線治療器など乾癬治療に必要な機器が揃っているという点で特徴的であり、光線療法が必要な患者には、岸山皮膚科を受診してもらうことが多い。また、國分医院網走皮膚科クリニックは、基幹病院にアクセスしにくい場所にあることから、法人内で唯一、乾癬の生物学的製剤使用承認施設となっている。

開業以来のモットーは、「北海道のオホーツクで東京と同じ医療を提供する」。國分理事長は、「医師はそれぞれが勉強し、情報を共有しています。看護師も皮膚科で必要な知識をしっかりと学び、医師と連携して診療にあたっています」と、上記モットーを実現するため学び続ける姿勢を語る。

2. 人員配置 経験豊富な専門医が揃い、乾癬治療の大家も協力
医師・看護師の連携で医療の質を高く維持

菅原 祐樹 院長

川嶋 利瑞 
國分医院網走皮膚科クリニック 院長

美久会の各施設は、院長はじめ勤務医、看護師とも人材が豊富だ。まず、岸山皮膚科で開業時から院長を務める岸山和敬先生は、旭川医科大学附属病院皮膚科講師や総合病院北見赤十字病院皮膚科部長を歴任した日本皮膚科学会認定専門医(以下、皮膚科専門医)である。

2016年10月から國分医院網走皮膚科クリニックの院長を務める川嶋利瑞先生もまた、米国テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター皮膚科研究員を経て、北海道大学大学院皮膚粘膜病学分野講師、札幌鉄道病院皮膚科主任医長などとして北海道で活躍してきた皮膚科専門医。研修医だった1980年代から乾癬治療に取り組み、長年にわたり乾癬患者とともに歩んでいる。

國分皮膚科の院長は、国立病院機構北海道がんセンター、製鉄記念室蘭病院、市立千歳市民病院といった基幹病院で皮膚科診療に従事してきた皮膚科専門医、菅原弘士先生が2004年4月から務めている。美幌皮膚科の院長は、國分理事長の兼任だ。國分理事長も、滝川市立病院、新日鉄室蘭総合病院など複数の基幹病院での勤務経験がある。その後、北見市内の皮膚科クリニック院長を経て、1997年5月に医療法人社団美久会を設立した。

各施設に曜日担当制で勤務する医師たちも皆、皮膚科専門医だ。さらに、乾癬治療の大家である中川秀己・東京慈恵会医科大学名誉教授が、2週間ごとに飛行機で美幌にやって来て、美幌皮膚科で診療にあたっている。

こうした医師の配置を見るだけでも美久会の専門性の高さは容易に想像できるが、國分理事長は、「当法人の医療を支えているのは看護師です。看護師なくして皮膚科医療の質は維持できません」と強調する。その看護師たちもまた、皮膚疾患ケア看護師など専門資格を複数が取得している。

「皮膚疾患ケア看護師」とは、日本皮膚科学会が2018年に発足させた制度に則って認定するもので、美久会では、八鍬里奈看護師、高倉佳恵看護師、小嶋有紀子看護師が、制度発足1年目から順次、取得している。國分理事長は、「資格を取るための勉強が看護師の力になり、自信や責任感が増すように感じます」と話し、その取得を後押ししている。また、法人全体に、常に勉強して向上していく習慣が根付いており、資格の有無にかかわらず全看護師が皮膚科で求められる知識・技術をしっかりと身につけ、ベテラン医師たちと連携しながら、その力を発揮しているという。

看護師数は、國分皮膚科8名(うち2名が産休中)、國分医院網走皮膚科クリニック8名(うち2名が産休中)、岸山皮膚科7名(うち1名が産休中)、美幌皮膚科3名。開業以来、結婚、出産などを経ながら継続して勤務している人も多く、國分医院網走皮膚科クリニックには、先代の時代から勤務している看護師もいるなど看護師の定着率は高い。看護師が働きやすい職場をつくることでベテランが定着し、ケアの幅広さ、後進の育成にもつながっている。

3. 乾癬治療 医師・看護師の連携でピラミッド計画を実践
網走では生物学的製剤治療にも対応

美久会に継続的に通院している乾癬患者は、2022年8月現在、カルテ数ベースで558名である。その内訳は、國分皮膚科185名、國分医院網走皮膚科クリニック185名、岸山皮膚科117名、美幌皮膚科71名。多くは尋常性乾癬だが、中には膿疱性乾癬、乾癬性関節炎の患者もいる。

近隣に住む患者だけでなく、遠方からの患者が多いのも美久会の特徴だ。「紋別市や雄武町、中標津町から國分皮膚科や岸山皮膚科に来られるなど100km以上離れた地域から来院される患者さんも多数おられます。特に網走皮膚科クリニックの場合は、知床半島の患者さんなど基幹病院へのアクセスが困難な患者さんもかなりおられる。ここだけ生物学的製剤使用承認施設の認可を取ったのは、そうした事情があるからです」と國分理事長が説明する。

同法人では基本的に、生物学的製剤療法が必要な患者は、導入から継続治療まで含めて、医師同士の信頼関係も構築できている北見赤十字病院に任せることにしているが、國分医院網走皮膚科クリニックでは、上記のような地域事情から、導入は北見赤十字病院に依頼し、継続治療はクリニックで行うケースが多くなっている。

美久会では基本的に、乾癬の治療はいわゆる「乾癬治療ピラミッド計画」に沿って進める。その中で患者自身がどの程度治したいと考えているかなど個人の希望や事情に配慮し、塗り薬や光線療法でしばらく粘るか、早い段階でより強力な治療に移るかなどを決めていく。

國分理事長の場合は、初診の乾癬患者を診察室に迎え入れたら、診察台に患者と一緒に並んで腰掛ける。そして患部をよく観察し、乾癬かどうかを見極める。症状が広範囲に及ぶ場合は、全体を見て、形状や面積などを記録し、治療の経過をスコアでも把握できるようにする。診察には看護師が同席し、情報を共有。関節症状を疑う場合は、近隣の整形外科にX線検査を依頼し、画像の読影は中川名誉教授に行ってもらっている。

「高齢者の場合には、脂漏性角化症との区別が難しいケースも多いので、その場合はダーマスコープを用いて点状出血の有無を確認します。あれば乾癬、なければ脂漏性角化症。脂漏性角化症と診断した場合には、カルテに病名を記入したうえで、『乾癬ではない』と明記します。患者さんが別の医療機関を受診した場合に間違われないようにするためです」と國分理事長。「乾癬の診断は決して難しくはありませんが、よく見ないと間違えることがありますので、そこは慎重を期しています」と話す。

4. 看護師の役割 各種説明・指導、治療効果確認を医師とともに実践
患者の気持ちに寄り添い治療への意欲を支える

乾癬治療における看護師の役割は、説明、相談、指導、医師とのコミュニケーションのサポート、精神的支えなど多岐にわたる。そんな看護師たちの活躍ぶりを國分理事長は、「診療の9割は看護師で成り立っています」と表現する。看護師は基本的に医師の診察前に患者の話を聞き、診察に同席し、診察後に説明を補足したり実際の治療を行ったりする。

患者が乾癬と診断された直後の説明については、高倉看護師が次のように紹介する。
「乾癬という病気を知らない患者さんも多くいらっしゃいますので、診断後は看護師が丁寧に、パンフレットなどを用いながら説明します。そして、処方された薬の特徴や使い方、今後の治療の進め方などをお話しします。塗り薬については、最初は私たちが容器から薬を出して患部に塗ることを実際にやって見せながら説明します。『クリームなら人差し指の第一関節分、ローションなら1円玉の大きさが手のひら2枚分の使用量ですよ』というような、実感として捉えやすい説明を心がけ、それぞれの患者さんのペースに合わせて説明することで理解を促しています」

常に患者の気持ちに寄り添うことの重要性を語るのは、小嶋看護師だ。
「"かんせん"という言葉から、感染症を連想し、うつるのではないかと気にする方も少なくありません。そこで私たちは感染する病気ではないことを最初にしっかり伝えて、安心していただくようにしています。また、皮膚の症状を人に見られることに抵抗感を示す人も多いので、『温泉に行きたいけど行けない』といった患者さんの言葉を聞き逃さずに、共感しながらケアするようにしています」

医師に患部を見せるのが恥ずかしいといった女性患者などの場合は、診察前に看護師が症状の出ている部分を確認し、医師に伝えたうえで、バスタオルなどで体を覆って診察室に案内するなど細やかな配慮をしている。

八鍬看護師は、治療開始後の患者の様子をしっかり観察し、訴えに耳を傾けることが大事だと語る。
「たとえば塗り薬を処方された患者さんが、次に来院されたときに症状が悪化していたとします。そんなときはくわしく事情をお聞きして、悪化した理由を突き止めます。もし、薬が処方通り塗れていなかったなら、塗れなかった理由をお聞きし、仮にベタつきが気になるというのであれば、医師に伝えて、もう少しサラッとしたタイプの薬やシャンプータイプの薬に替えることを提案したりもします。単に、『しっかり塗ってください』と言うのではなく、なぜ塗れなかったのかを聞き出し、塗れるようするにはどうしたら良いかを患者さんと一緒に考えて対応するのが私たちの役割だと思っています」

こうした指導を確実に行うために、看護師たちは、多種類ある塗り薬を実際に自分の肌に塗ってみて、使用感を確認したりもしている。「今後も患者と思いや情報を共有しながら、長期にわたる治療を支えていきたい」と3名は声を揃える。

5. 今後の課題・展望 志を引き継いでくれる若手医師を発掘し
皮膚科の地域医療を守り続ける体制を構築

國分理事長は、現在の最大の関心ごととして、自らが仲間とともに支えてきたオホーツク地域の皮膚科医療を、今後も守り続けていけるように、美久会の施設を引き継いでくれる次世代の医師を発掘することを挙げる。

「1人はすでに見つけてあります。できれば早いうちにもう1人見つけたい。私と岸山院長の引退までそう遠くはありません。それまでに施設を若手に任せ、新しい体制での運営を軌道に乗せることが、いまの私に課せられた重要な課題だと思っています」

女満別で小さな皮膚科を開業して四半世紀。法人として成長しながらハイレベルの皮膚科医療を地域に根づかせてきた美久会の高い志は、世代を超えて受け継がれようとしている。

KKC-2022-01116-1

乾癬治療最前線

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