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社会医療法人頌徳会 日野クリニック
[乾癬治療最前線~患者とともに歩む~]

2022年12月14日公開/2022年12月作成

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  • ●院長:今野 雄介 先生
  • ●開設:2000年7月
  • ●所在地:大阪府堺市中区深井中町1248

病院並みの機能を擁する
「総合型外来専門クリニック」
皮膚・リウマチ専門医が乾癬患者の全身を診る

幅広い診療科と高い医療機能を持ち、「総合型外来専門クリニック」を謳う日野クリニックは、2000年7月、保健・医療と福祉サービスを総合展開する社会医療法人頌徳会の一翼として開設された。皮膚科を率いる小塚雄民名誉院長は、皮膚科専門医、リウマチ専門医、アレルギー専門医の3つの資格を持ち、乾癬患者の多様な症状を総合的に診ている。生物学的製剤治療の経験も豊富な小塚名誉院長を頼って来院する患者も多く、同クリニックの乾癬患者数は年々増加している。クリニックとしては全国で初めての生物学的製剤使用承認施設であり、積極的な情報収集とスタッフ教育で医療の質を維持している。

1. 法人とクリニックの概要 保健・医療と福祉サービスを総合展開
各科が連携して多様な患者を診療

日野クリニックが属する頌徳会グループは、同クリニックのほかに日野病院、介護老人保健施設ソルヴィラージュを擁する社会医療法人頌徳会、介護老人福祉施設ソルメゾン、看護小規模多機能型居宅介護ソルテイルを擁する社会福祉法人頌徳福祉会からなる多様な施設を運営し、それぞれが連携して活動することで、地域密着型の保健・医療と福祉サービスを展開している。

始まりは、日野頌三理事長が1979年6月に開設した日野診療所だ。2年後の1981年5月には日野病院を開設し、1986年3月に法人化。その後、介護施設や在宅サービスの整備も進め、2003年3月に特定医療法人、2005年10月に特別医療法人、2014年1月に社会医療法人となった。

日野クリニックの開設は2000年7月。内科、腎臓内科、整形外科、リハビリテーション科、皮膚科、アレルギー科、形成外科など一般総合病院並みの多彩な診療科と高度な診断・治療機器を擁し、各科に専門医を配置して、「総合型外来専門クリニック」として幅広いニーズに応えている。

ほかに人工透析、血漿交換療法なども行っており、検査部門には、臨床検査技師、放射線技師が常勤して血液検査、心電図検査、超音波(エコー)検査、レントゲン・CT検査などに随時対応。検査結果も迅速に得られる環境が整っている。

2. 皮膚科の特徴 3つの専門医資格を持つ名誉院長が診療
生物学的製剤治療など最新治療にも積極的

小塚 雄民 名誉院長

小塚 雄民 名誉院長

皮膚科には2名の医師が在籍し、一般的な皮膚疾患はもちろんのこと、専門性の高い膠原病、難治性の乾癬、アトピー性皮膚炎など幅広く対応している。同科を率いるのは、皮膚科専門医、アレルギー専門医、リウマチ専門医などの資格を持つ小塚雄民名誉院長だ。小塚名誉院長は日野理事長の医学部時代の同級生で、理事長が日野クリニックを開業した翌年の2001年、日野クリニック院長として就任した。

小塚名誉院長は同クリニック皮膚科の特徴を、次のように紹介する。

「生物学的製剤治療をはじめ最新治療を積極的に行っています。現在、分子標的治療薬を含む生物学的製剤治療を受けておられる患者さんは、アトピー性皮膚炎で約65人、乾癬患者さんで80人おられます。ほかに15人の慢性特発性蕁麻疹の患者さんも来られています。私が3つの専門医資格を持っていることもあり、皮膚科だけで皮膚症状、関節症状、全身の合併症まですべてを診られるのは強みだと思います」

小塚名誉院長が関節リウマチの生物学的製剤治療を開始したのは2009年5月で、最初は関節リウマチ患者が対象だった。その経験を生かして2010年4月には乾癬に対しても行うようになり、さらに2018年にアトピー性皮膚炎を対象とした生物学的製剤が登場した際にも迅速に対応した。

生物学的製剤に抵抗感を示す医師もまだまだいるといわれるが、「医師がしっかり勉強してガイドラインに添って治療を行い、患者さんと信頼関係を築いたうえで緊急時の対応体制を整えておけば、クリニックでも十分可能です」と小塚名誉院長。ただし、「質を高く、安全に行うためには、人材育成と情報収集が欠かせません」とも指摘する。

この点、同クリニックの場合、16名(常勤9名、非常勤7名)の看護師のうち2名が日本リウマチ財団登録リウマチケア看護師、6名が皮膚疾患ケア看護師であるなど専門性の高いスタッフを配置しつつ、各種学会や地域の勉強会などでさらなるスキルアップも重ねている。「小塚先生の下で仕事をすることで私たちは鍛えられ、資格を取るための勉強をしながら力をつけてきました」と、木村徳子看護師長(皮膚疾患ケア看護師、日本リウマチ財団登録リウマチケア看護師)が言う。また、近隣の2つの薬局にそれぞれ日本リウマチ財団登録リウマチケア薬剤師が勤務しているなど、患者を専門的に支える体制が整っている。

ところで、小塚名誉院長は現在のような皮膚科の臨床医になるまでに、幅広い経歴を重ねてきた。大阪大学医学部皮膚科学教室に在籍していた1970年代には化粧品の研究に没頭。当時、原因不明だった女子顔面黒皮症が化粧品の成分によるものではないかと考え、母校である大阪大学の理学部に入り分析化学を勉強。原因物質である色素を突き止め論文発表した。この業績により博士号を取得し、1981年からロンドン大学に留学。被害に遭った女性たちは小塚名誉院長の研究成果を根拠にメーカーを訴え勝訴。これが今日の化粧品の成分表示のきっかけになった。

イギリスから帰国して皮膚科学教室に戻った1980年代半ばには、同級生の内科助教授(当時)から、「乾癬を併発している骨粗鬆症の患者にビタミンDを投与したら乾癬が治った。研究してみてほしい」と言われ、乾癬のビタミンD製剤治療に着手。その後は、皮膚科の吉川邦彦教授が中心となって研究を進めた結果、ビタミンD外用薬が国際的に使われるようになった。これが小塚名誉院長と乾癬治療との出会いだった。

1989年以降は、それまでとはまったく別の臨床現場に職場を移し、国立大阪病院(現国立病院機構大阪医療センター)で膠原病の診療に従事した。「重症患者さんばかりたくさん診ていました。この時期に患者さんの全身管理の手法を身につけたことが、いま、生物学的製剤治療を行うのにとても役に立っています。指導していただいた橋本武則先生には感謝しています」と言う。

こうしたさまざまな経験を経ながら実績を重ね、複数の専門医資格を取得。その後、日野クリニックに赴任し、持てる力を存分に発揮しているのである。

3. 乾癬治療 内服療法と生物学的製剤療法が中心
チーム医療と地域連携で患者のニーズに応える

日野クリニックに通院する乾癬患者は月平均で約120人。紹介患者ももちろんいるが、多くは自らインターネット検索などをして、小塚名誉院長の診察を希望してやって来る。

乾癬には、薬物療法を中心に対応している。外用剤で効果が不十分な場合は内服薬、さらに重症の場合や乾癬性関節炎では生物学的製剤を使用する。こうした段階的な治療については、医療費や各種助成制度も含めて患者に十分説明し、選択してもらう。説明は医師がまず行い、さらに看護師が補足する。

生物学的製剤の効果を理解しつつも費用面から断念するケースも少なくはないが、他の医療機関で長年治療を受けながらも思うように治らなかった患者などは、生物学的製剤治療を希望するという。

生物学的製剤治療を選択した患者には、あらためてくわしい説明を、やはり医師と看護師から行い、投与法や頻度、自己注射が可能かどうかなど薬剤の特徴を理解してもらって、どの薬にするかを決めていく。

この段階での看護師の説明は、医師の診察とは別枠で1時間程度の時間を取って行うことが多い。「看護師は、薬の特徴、費用などはもちろん、治療スケジュール、起こりうる副作用と対処法、何かあったときの連絡方法、近隣病院との連携などについてもじっくりお話しし、パンフレットや必要資材を用意してお渡ししたりもしています。自己注射の場合は患者さんが自信を持って打てるようになるまで、デモ器も使いながら丁寧に指導します」と、木村師長が看護師の役割を紹介する。

薬剤に関する説明の際には、小塚名誉院長が自作した「乾癬治療に使用される生物学的製剤」リストを患者に渡し、それぞれの特徴を知ってもらう。2022年8月現在、このリストに載っている薬は11種類。つまり、認可されている薬のすべてを、同クリニックでは使うことができる。患者の希望に最も合った治療ができるように、新薬が開発されるたびにその薬について研究論文の段階から勉強し、日本で認可されるとすぐに採用するのだという。

生物学的製剤の導入が決まった患者には、必要な検査を行うが、これがすべて院内でできるのは日野クリニックの大きな強みだ。「当クリニックは多彩な診療科を持つ総合クリニックですから、検査機器も充実しています」と小塚名誉院長が言うように、マルチスライスCT、エコー検査(腹部、心臓、頸部、血管、前立腺など)装置、各種心電計など病院さながらの検査機器が揃っている。必要に応じて外部委託する検査はMRI検査くらいだ。患者の検査データは、ファイルメーカープロを使用したデータベースで管理している。これにより、検査・観察項目の抜け・漏れを防いでいる。

エコー検査を行うのは、患者が関節などの痛みや腫れを訴えている場合である。エコー検査については、臨床検査技師とともに小塚名誉院長も、著名なリウマチ専門医の指導を受けたうえで活用している。小塚名誉院長は実際のエコー検査にも同席。見たい部分を直接指示し、それに従って臨床検査技師が機器の操作をするといった連携プレーが定着している。この結果、乾癬性関節炎と診断した場合は、日本および海外のガイドラインに則って治療を進める。

検査機器の充実は、合併症の早期発見にも役立っている。肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症、心血管障害などが見つかった場合には、院内の内科医の協力も得ながら乾癬治療と並行して治療する。同様にがんの早期発見にも努めており、見つかった場合はすぐに専門医につなげている。

4. 副作用対策 緊急時連絡体制を完備
24時間対応可能な病院と密に連携

乾癬治療に際しては、できるだけ副作用の少ない薬剤を使用するように努めているが、それと同時に、副作用が起こった場合の対策も十分に整えている。その1つが、生物学的製剤治療を行っている患者全員に、小塚名誉院長の携帯電話番号を伝えていることだ。実際に直接電話がかかるケースはほぼないが、いざというときに医師に直接連絡できる体制があることの意味は大きい。

そのほかの対策としては、生物学的製剤治療開始時から15分間の観察、日頃からの患者教育、緊急対応が可能な病院との連携などがある(図参照)。

副作用以外でも、困ったり悩んだりした場合には、いつでもクリニックに電話やメールで連絡するように患者に伝えている。木村師長によれば、患者からかかってくる電話の内容で多いのは、「乾癬の薬を使った前後に予防接種を受けてもよいか」「風邪気味だが予定通り乾癬の注射を打ってよいか」など。新型コロナウイルス感染症の流行下では、「ワクチンを打っても大丈夫か」という質問も多く寄せられたそうだ。こうした質問には、多くの場合、外来看護師が対応する。

「私が生物学的製剤治療に着手した2009年5月から現在までに、一度だけ重大な副作用事例を経験しました」と小塚名誉院長。先に示した「副作用出現時の対策」は、それを機に作成した。連携先の病院としては、同じ頌徳会グループの日野病院、国立病院機構大阪南医療センターなどがある。大阪南医療センターは24時間救急対応が可能で、生物学的製剤治療に精通しているため連携はとてもスムーズである。

5. 今後の課題・展望 人材育成・確保に努めつつ
増え続ける乾癬患者にスタッフ皆で対応

日野クリニックでは近年、近隣の皮膚科診療所などからの依頼で、乾癬患者への生物学的製剤治療の導入を同クリニックで行い、維持治療が安定した段階で紹介元へ逆紹介する診診連携も実践している。「今後もガイドラインに沿った適切な診診連携、病診連携に努めながら、地域での役割を果たしていきたい」と小塚名誉院長は言う。

この役割を果たすための課題としては、人材育成・確保を挙げる。「若手の看護師にも、できれば皮膚疾患ケア看護師などの資格を取ってもらい、誰もが専門性の高い看護を提供できる体制を整えていければ」と木村師長。小塚名誉院長は、「最大の課題は私の年齢」と笑いながら、後継者の確保を意識している。

「乾癬患者さんの全身を1人で診るのは簡単ではなく、かなりの勉強と実践を積み重ねる必要があります。そういった医師を見つけること、育てることも考えながら、スタッフと協力しながら日々の診療を続けていくのが私の楽しみであり目標です」

KKC-2022-01068-2

乾癬治療最前線

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